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2007年1月30日 (火)

なぞること、生み出すこと

 「春の海」という宮城道雄さん作曲の琴と尺八の名曲をご存じの方は多いと思います。この曲をバイオリンとピアノで演奏される場に参加したことがあります。この二人はご夫婦で、奥様がキューバ出身のピアニストでした。私の役割は、ピアノの楽譜の譜めくりでした。

  この「春の海」を弾き始める前、奥様は黙想されました。曲のイメージを心に描いて引き出されるのを常としておられるようです。と、その瞬間、そばにいた私にまで砂浜に打ち寄せる波の音が聴こえたのです。いえ、そう思ったのでした。

  本当に驚きました。下呂の山の中の小学校の体育館で、まさか波の音を聴くことがあろうとは・・・それはピアニストのイメージの中の音であったはずです。

 そのとき思いました。幼い子がピアノを弾き始めるとき、最初は楽譜の音を間違わずに音に置き換えることで精一杯といっていいでしょう。それは、文字を覚え初めの時のなぞりがきに似ています。けれど、書家はなぞり書きをするのでなく、自分の魂の躍動を筆で表現するのでしょう。

 それと同じように、優れたピアニストは、楽譜の音をピアノの上で再現することで精一杯という域を遙かに超えて、その曲に自分の魂を込めてこの世に送り出すのではないでしょうか。

聖書のことば イザヤ書 第44章2節

  あなたを造り、 / あなたを母の胎内にいる時から形造って、 / あなたを助ける【主】はこう仰せられる。 / 「恐れるな。わたしのしもべヤコブ、 / わたしの選んだエシュルンよ。

※ ヤコブ、エシュルンというのは人名です。この人たちを紹介すると長くなるので、よろしかったら思い切ってご自分の名前を入れてお読みください。神様は、私たち一人一人に命を与えてこの世に送り出してくださっているのです。それは、名演奏家の演奏をはるかにしのぐ神様の創造のみわざです。何と心強いことでしょう。

  私たちの今日語ることば、為すわざ・・・その一つ一つに自分の生き方、真心を込めてこの世に送り出すことができますように。

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