『ミドルエージのためのピアノレッスン』伊能美智子著・春秋社刊・1997年6月20日第一刷発行
この本を図書館から借りるのは今回で5回目くらいになります。
さてミドルエージの定義ですが、この本には、ミドルエージというのは、「中年・初老」、通例40歳~60歳と書いてある辞書もあるが、「ウエブスター」という辞書には「若年期と老年期の間にミドルエージと呼ばれる、いくらでも延び広げることのできる時期がある」などと意味深に付け加えられている ・・・ という文章があり、これは、なかなか魅力的ですね。
著者も、これを知って嬉しくなったそうで、「ミドルエージとは、それまでの人生に充実した手応えを感じて、自分自身にいま最も自信をもつことのできる人たち」・・・と言い換えてもいいのではないでしょうか、と書いています。
ピアノの練習については
・身体の手入れをし、筋力や体力をなるべく衰えさせない
・しゃにむに練習しない
・肩の力を抜く
などと書いてあります。 これは、ピアノに限らず、ミドルの生活全般の心得とも言えそうですね。
面白いのは ・・・ といってばかりもいられないのですけれど、「ミドルエージが陥りやすいトラブル・カルテ」です。あまり詳しくは書きませんが、およその見当はつくようにトラブルが命名されていますので、列挙させていただきます。 ほかのことにも適用・応用ができそうに思えるものですから。 症状と解決法の要約を記します。
◇ 楽譜アレルギー 五線譜は苦手 やはり基本はある程度無視しないで学ぶ
◇ 脳指令硬化症 楽譜を見て 脳がそれをもとに判断し 指先へ ・・・ この流れがつながりにくくなる 集中力も落ちてくるのですぐには回路ができないが、根気よく練習することで克服を
◇ 後天性リズム感退化 若々しいリズムには乗りにくくなる はずむリズムのはずが他の人にはあえいでいるように聞こえるなど 音楽に合わせてダンスのように体を動かすことからリズム感を身につける
◇ 休符返上症候群 ワーカーホリックではないのですが、休符を省略してしまう・・・自 分の演奏を録音し、まず客観視して自覚することが解決の糸口に
◇ ペダリング操作過敏症 ペダルを踏む、はなすタイミングが分からず気になってしかたがない ・・・ 手の後に足でペダルを踏むのが基本 耳を働かせて
◇ 気分本意シンドローム むらっ気のある練習時間 ・・・ やはり、コンスタントがベター
◇ 本格指向型好奇心旺盛症候群 研究熱心で、バッハの楽譜は同じ曲でも19種類あることを調べ上げたりする ・・・ そういう構えは悪いことではない。でも、先生に議論をふっかけたりしないこと
◇ 教師不信 実際に弾いて見本を示してくれないと師とは言えないのでは、と不満
・・・ 師とは必ずしもそういうものではないが、強烈に不信を抱いているなら、師を替わられるほうが幸せ
などと
お若い方もこのブログを読んでくださっているようで、そうした方にはあてはまらないかもしれませんが、人物ウオッチングや、いずれ年齢が高くなったときの自己認識の一助にしていただければ幸いです。
ちなみに、私は、楽譜に限らず文字なども正しく読み取ることが大部分とはいえ、観念で読んで、実際に書いてあることとは読み間違ってしまう症状が強まってきているように思います。
【例】 「あれっ、ウナギのひまつぶしって、変な看板だなあ」
もう一度見直すと、そうです、「ウナギのひつまぶし」でした。
思い込みによる事実わい曲症候群 ・・・ これは、必ずしも年齢には関係ないのかもしれませんけれど。
何にしても、硬化症にならないで、しなやかな心身で臨み続けたいと思います。
今日もよい日となりますように。
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