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2008年10月23日 (木)

生の音、人工の音

 大学時代、音楽鑑賞の講座があり、これは音楽科だけでなく一般の学生に開かれていましたので、受講していました。

 その先生は、確かあのワルツ王、ヨハンシュトラウスの愛器だったバイオリンを所有しておられ、岐阜県交響楽団の母体を昭和28年ころにスタートさせた方です。

 その講義の中で、人間の声が最高に芸術性の高い楽器で、間にいろいろな装置が入るほど芸術性から遠ざかるのだ、というお話がありました。

 そういうものかなあ、とそのときは思ったのですが、最近になって、たとえばバロック音楽が胎教によいと言われるけれど、レコードやCDなどの音ではなく、できれば生の演奏が一番よいのだと聞きました。また、落語などの話芸、演芸も肉声を鍛えてできるだけ、マイクに頼らないこと ・・・ そうすれば声だけれど、マイクを通すと音になってしまうのだと落語の名人が書いているのを読みました。 「音声」ということばもあるのだから、そうこだわらなくてもいいではないかと思わないでもありませんでしたが、大学時代の講義とも思い合わせて、考えることが時々あります。

 結論は、自然の中に出ていって生の自然を見、聞くことが出来ればそれが一番よいだろう。また、コンサート会場に足を運んで生演奏を聞くことが出来れば、音楽を楽しむには理想的だろう。

 それが出来ないときには、電気的な音、ラジオ、CD、テレビなどで音楽や美しい情景などを鑑賞するのが次善の策だろう   というところに落ち着きました。

 常識的なところにいたるまでをおつきあいいただきまして、ありがとうございます。

 赤ちゃんには、おなかの中にいるときから、穏やかな母親、家族の声を聞かせ、生まれてからは肉声で子守歌などを歌って聞かせ、有名な人の朗読をテープなどで聞かせるよりは、家族が読み聞かせをしながらはぐくむ ・・・ 同じ部屋で同じ時間を共有しながらすごすことにもなりますし、これは大事なことではないかと(書き起こしたこととは別のところに来ているかも知れませんが)、思います。

 電話、携帯電話、メールよりも、また、パソコンで打ったメールよりも、肉声、顔を見ながらの会話、手書きの文字のほうが、心を結ぶ力がより豊かだということになるかもしれません。

 生の演劇、寄席、オペラ、コンサートは、手間も時間も費用もかかりますけれど、それゆえに得られる感動も大きいという面があることでしょう。

 しっとりと雨が降る秋の日、そんなことを考えてみました。

 今日もよい日となりますように。

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コメント

こんにちは、お世話になっているオケの学生です。

いつも興味深く拝読させていただいてます。
少し視点がずれるかもしれませんが、この『音』について私も危惧していることがあります。

先日私の母が、あるゲーム機のソフトを買ってきました。それは今CMでやっているW○iMusicというものですが、それをやってみますと、トランペットの音、バイオリンの音をスイッチ一つで簡単に出すことができます。

楽器をやっている人間として、これは慎重にならなければと感じました。
先生ご存知のとおり、管楽器は音を出すことすらも相当な体力と集中力を使います。そうした苦労や毎日の努力があって豊かな音へと成長していける。そうしたプロセスなしで、ただボタンを押せばふけてしまうとなると、まったく楽器体験のない人からは『息入れてボタンを押せばなる』って誤解されなくもないなと感じました。ましてこれが子どもならば・・・・

簡単に楽しめる、というセールスポイントもありますが、慎重な楽しみ方が必要だな、と感じてます。(採用試験の討論内容でもありました笑)

しかし、やはり、本当の楽器の音色は電子音でも、CD録音でも表現できない、と生の演奏会へ行っていつも感じています。

アンサンブルの音圧は、生でないと感じられません!!

※ ムーミンパパより
 コメントありがとう。大指揮者のフルトヴェングラーだったと思うのですが、ある曲の出だしを意図的に少しあいまいな振り方をし、オーケストラのいろいろな楽器のスタートが合わなかったとき、フルトヴェングラーが目をつむっているのをこれ幸いと、コンサートマスターが、ヴァイオリンの弦か何かで合図をしたそうです。

 見事に出だしがドンピシャリと決まったら、とたんにフルトヴェングラーが目を明けて「駄目だ、そろいすぎる」と言ったとか ・・・

 こういうことは、やはり人間でないとできないのですね。 

 それは、ともかく、何ですって ・・・ お母さんがゲームのソフトを購入していろいろな楽器の音を出しておられる ・・・ うーん   何と若々しいのでしょう。 そしてあなたは、その息子さんなのですね ・・・ またまた  うーん  私は自分の年齢を感じました。 でも、年数を経るほど醸成されて味わいを増すものもあります。 ワイン、屋久杉、ウメボシ、沖縄の古酒(クースー ・・・漫画「美味しんぼ」にそんな名前があったような)などなど
 私はどうあがいてもワインのようにはなれそうにあれませんが、健康で歩みます。 またお目にかかりましょう (^o^)  

投稿: 学生 | 2008年10月23日 (木) 13時46分

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