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2008年10月 2日 (木)

三遊亭圓楽さん

 『圓楽 芸談 しゃれ噺』 三遊亭圓楽 著 白夜書房 発行 2006年7月25日 初版発行 

  圓楽さんは、皆様がご存じの通り、テレビの人気番組「笑点」の司会を23年つとめた落語家です。2006年5月14日にその役目を卒業されました。

 若い頃には「湯上がりのような顔」、あるいは「星の王子様」というのが自ら考えたキャッチフレーズでした。

 この本を読んでみますと、実にいろいろな経験をしてこられた方ですね。浅草のお寺に9人兄弟の四男として生まれ、お寺が引っ越すときには、檀家のお墓の引っ越しの手伝いとして、数十のされこうべを洗うということなども経験されたそうです。そうしたことに対しても、こわさよりも、知的好奇心がうわまわる生き方をしてこられた方です。

 少し長くなるのですが、圓楽さんが芸に行き詰まっていたときの文章を引用させていただきます。心に響き、しんみりと私が感動した箇所です。

     □  ◇  ○  ☆  ※  ☆  ○  ◇  □

  稽古をさぼっているならいざ知らず。 人一倍努力しているつもりなのに、どうにも芸が伸び悩んでいるなという自覚もありました。それで、食事ものどに通らなくなってしまったんです。

 それを見かねたんでしょう、突然お袋が、

「お前の落語を聴かせとくれ」って言ってきた。肉親を目の前にして、それもさしで落語なんて出来るもんじゃありません。それで渋ってますと、お袋が、どうしてもって言う。

 観念して、うちの寺の本堂でお袋ひとりを前に、落語をやりました。ところが、お袋はじいっと聴いているだけで、あたしと目を合わそうともしない。で、終わってから、こう言ったんです。

「下手だろう?」

ところがお袋は静かに

「いいや、お前は名人だよ」

もちろんそんなはずはないんです。だけど、わが子を励まそうと思って、ああ言った。  その気持ちを思って、朝まで泣きました。

言葉っていうのは短いほど人に感動を与えるものですね。落語も同じで、饒舌であるよりも、無駄を省いたひと言がここぞという所で効いてくる。そのことを母から教わった記がします。

以来、迷いがふっきれて、落語に邁進したんです。

   □  ◇  ○  ☆  ※  ☆  ○  ◇  □

 あと少しで、この本を読み終えるところです。

 今日も、よい日となりますように。

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