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2008年10月31日 (金)

『女優 山本安英』

 『女優 山本安英』 宮岸泰治 著・影書房 2006年10月7日 初版 第一刷 発行

 山本安英(やまもとやすえ)さんは、あの木下順二の名作「夕鶴」のつうの役を演ずること、1037回・・・その間、一度も休演することのなかった女優さんです。1993年の10月にこの世での生を終えられたそうです。

 この本の著者は、1947年、17歳のときに山本安英さんの講演を聞き、「生まれて初めて人の声を聞いた」と記すほどの感動を覚え、ついには演劇批評にほぼ60年打ち込んで、2006年6月10日に病没された方とのことです。

 山本さんは、「舞台のある時ない時にかかわらず、一日に必ず一度は俳優としての意識をもちたい」と語り、著者は「それはいつ舞台に立っても燃え上がる熾火(おきび)を絶やさない専門人の習いだとも理解できた」と受け止めています。優れた人と人との出会いをこうしたところから感じました。

 山本さん演ずるつうが雪下駄で野に立つ場面で、著者は「サクサクと雪をかむ音が聞こえるような」と書き、山本さんは、ずっと後までそのことを覚えていたそうです。

 山本さんは舞台への登場の仕方、どんな心情を台詞に込めるかなど、常に追究し続けた女優さんだったとのことです。

 「夕鶴」の素材となった「鶴女房」は佐渡に残っていた民話で、その縁で1987年に佐渡に文学碑が建てられ、木下順二さん、山本安英さんが招かれたときのことなども記されています。

 実は、1037回公演された「夕鶴」の何回目に当たるのかは分かりませんが、国語の教師仲間とその舞台を見たことがあります。細身で小柄なのに声が美しく響き、ごく自然に鶴を連想させる動きが感じられたことなどを思い出します。生の演劇をそれまであまり観たことがなかったので、はなはだ頼りない記憶ですね、

 よいものをよいと見ることができるためには、それだけの素地が要るのか、それともそういたことを超越して心を動かすものがあるのか ・・・ などと考えつつ、読み進めています。 演奏会、そして舞台芸術に足を運びたくなりました。

 今日も、よき日となりますように。

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