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2009年6月 2日 (火)

『八重子のハミング』

 『八重子のハミング』 陽 信孝 (みなみ のぶたか 著) 

              小学館 2002年5月20日 初版第一刷 発行

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 著者は、長く教職を務められ、市長さんに請われて萩市の教育長の重責を果たされた方です。

 表紙に 「4度のがん手術から生還した夫が アルツハイマーの妻に贈る、三十一文字のラブレター」と あります。

 著者が親友でもある医師から胃がんの宣告をうけたとき、奥様である八重子さんは大きなショックを受けられて、それが50代の前半でアルツハイマーになられる契機の一つとなったようです。

 陽(みなみ)さんが、夜遅く帰られたとき、近くの橋の上に、帰りを待ちわびて激しく雪が降る中に長時間立っておられた八重子さんの姿があったそうです。

 このとき、陽さんは、「教育長の代わりはいるが、夫の代わりはいない。」と任期半ばで職を退くことを決心されたということです。

 幾度(いくたび)も われの帰りを たたずみて 待つ妻の背に 雪は積もれり

 このときの雪の中にたたずむ八重子さんをモチーフとして、ある方が人形を造られました。それがテレビで紹介されたときに家内が見て、くわしく知りたくおもっていたところ、やがてこの『八重子のハミング』という本があることが分かりました。

 県立図書館にその本があることが分かりましたが、多くの方が入れ替わり立ち替わり借りて読んでおられる様子 ・・・ このほど、幸運にも借りることができ、読み浸っているところです。

 次の歌にも、感銘いたしました。

 旅先の 宿の女将(おかみ)の はからいに 涙流しつつ 大風呂に入る

 お二人での旅行を楽しみにされていたそうですが、男湯と女湯の区別をつけられなくなってきた奥様に配慮して、旅館でも部屋にあるお風呂を使うのがならいになったそうです。ところが、それを知ったある旅館の女将さんが「ただいま清掃中」との札を掲げてお二人だけの時間を確保してくださって、大きなお風呂にゆったりと入ることができたときの歌だそうです。

  お湯の温かさ、そして人の心の温かさ、おもてなしの心が身にしみたとのこと。

 ちなみにこのホテルは、熱海の「貫一」というホテルだそうです。

 音楽の先生だった八重子さんは、歌詞は出てこなくなっても、済んだ美しい声で、メロディーを音程正しく楽しそうにハミングされるとのこと。

 機会がありましたら、お読みください。

 今日もよい日となりますように。

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