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2009年11月 5日 (木)

闇の中の光

 今日は、養護学校に長く勤められた同郷の先輩の二通のメールからお許しを得て一部を紹介させていただきます。

【第一信】

 先日、以前勤めていた養護学校の小学部会がありました。ある時期、小学部の教師集団がとてもよくまとまって、いい時代がありました。みんながその時代を懐かしんで、時々「あのころの小学部会」と称して集まっているのです。

 今回、皆さんの話を聞いていて驚いたことがあります。親の虐待によって精神を病み、普通学級にいられない子どもが大変増えているということです。小児精神病院内に併設された特別支援学校や普通校の中の特別支援学級の先生方の話はすさまじいものでした。

 親に虐待された子はまったく人を信頼することができず、すぐに切れて暴れ出すのだそうです。先生にむかって「くそじじい、死ね」とわめきながら殴る蹴るは日常茶飯事で、先生方は身体中痣だらけになるのだそうです。

 そういう子どもに向かって「暴力はいけません」などの正論を言って指導しようとすれば火に油をそそいだようにますます荒れ狂うのだとのこと。

 聞いていると心が痛くなるような話でした。でも私と働いていた頃はまだ若かった先生方が、今は中堅の働き盛りの先生になられて、日々、そうした子どもたちに身体を張って向き合いがんばっておられる様子に、頭が下がる思いでした。

【第二信】
  その会で聞いた心に残る話をお伝えしたくなりました。 親の虐待によって心を病んだ子どもたちのための特別支援学級の担任の先生の話です。

 ひとりの子が転校のため学級を去ることになりました。別れの日までいつものように先生(若くて美しい先生です)に向かって「くそババア 死ね」などと暴言を吐いて暴れ、帰るときに先生に向かって折り紙の紙ヒコウキを投げつけて去って行きました。

  その後で先生が何気なく紙ヒコウキを開いてみたら中に『先生 ありがとう』と書いてあったそうです。

 親から虐待され愛情に飢えていた子は、先生にどんなに反抗しても受け止められたことが、心に灯がともったようにうれしかったのでしょう。

 でも、それを素直に表すことができない屈折した子どもの心がいとおしくて思わず涙ぐんでしまいました。話す先生の目もうるんでいました。きっと、その紙ヒコウキは先生の宝物になったことでしょう。

      ◇  □  ☆  ○  ※  ◇  □  ☆  ○  ※

 一番自分を愛してくれるはずの親から虐待を受け続ける子の日々は、耐え難い絶望感に満ち、世の中の誰に向かっても敵意を抱き、愛を受け付けない人間不信の状態に陥ってしまいます。

 でも、そういう暮らしの中でも、この子の魂は、自分を本当に大切に思ってくれている先生の心を感知する力は失っていなかったのです。

 もし、この先生が紙ヒコウキを拾い上げ、開いてみなかったら、この子の「ありがとう」は気付かれないままに終わってしまったかも知れません。けれど、この子は、乱暴な言葉で投げつけた紙ヒコウキに込めたメッセージをきっとこの先生は開いて見てくれると信じていたことと思います。

 その先生のもとから転校していったこの子の先行きが今どうなのかということなどを考えると、暗雲が払拭されるわけではありませんが、でも、闇の中にまぎれもなく一条の光がさす思い、希望を皆様も味わってくださったのではないでしょうか。

 文脈からはずれるかもしれませんが、結びに書かせていただきます。

 あなたが思いきって口にするひとことが、相手に希望の光を与えることがあるかもしれません。

 今日も、よい日となりますように。

聖書のことば

 わたし(神)の目には、あなたは高価で貴い。わたしはあなたを愛している。   

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コメント

私も思わず涙ぐんでしまいました。
教育実習が始まって1週間が経ち、配属学級でも様々な事情を抱えた子どもがいることが分かってきました。ここに書かれているような状態に陥っている子はいませんが、小さな身体の中にどれほどの辛さを抱えているのだろうと胸が痛いです。
しかし子どものまっすぐな思いを、教師のまっすぐな心で受け止めれば必ず伝わるのですね。
将来、私自身が子どもたちに希望の光を与えられるような大人になりたいです。
来週からもかわいい子どもたちの中でたくさん学びたいと思っています。

※ ムーミンパパより

 教育実習、労をおねぎらいいたします。健康を維持しつつ、お歩みください。

 小さな子どもたちも、現実社会の中で生活しているので、うわずみのような綺麗なところだけで歩んでいくことはできません。けれど、親には無償の愛で包まれつつ幸せな幼年時代をすごしてほしいと思わずにはいられないです。

 「すべての大人は、子どもに最善のものを贈る義務を負う」 ・・・児童の権利条約の根幹の精神が、あまねく全世界において実践される日が来るように、力を注いでまいりましょう。コメントをありがとう。

投稿: 教育学部生 | 2009年11月 7日 (土) 22時48分

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