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2010年5月11日 (火)

『父の威厳 数学者の意地』

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『父の威厳 数学者の意地』 藤原正彦 新潮社 平成9年7月1日発行

 あのベストセラー『国家の品格』の著者の本です。

 題は固く、難しそうですが、どうしてどうしてなかなかに楽しい本です。

  たとえば、中学、高校時代、藤原さんはサッカー部に入っていたそうですが、年を経てテニスを始め、奥さんと組んでダブルスの試合をすることがあるそうです。

 ひどく負けた後は、たいてい夫婦喧嘩になり、性格の悪さ、人格の低さなどを指摘し合うことがあるのだそうですが、少しは上達しようとテニススクールに夫婦で行かれたときの文章をちょっと引用させていただきますね。

 クラス分けのため、初めにストローク、ボレー、スマッシュなどをさせられた。上手な者はさほどいないので、私は容易に上級に入れると思った。三十分ほどして、土色に陽焼けしたコーチが結果を発表した。私は中級だった。サッカーで鍛えた脚力があるので、試合には強いのだが、自己流がぶざまと映ったらしい。

 何を間違えたか、上級として女房の名が呼ばれた。屈辱と憤怒で頭がクラッとした。そのまま帰ろうと本気で思ったが、女房にこの衝撃を悟られては後々まで何かを言われる恐れがあると、懸命にこらえた。練習中、向こうの上級コートへ目をやる度に、辱めを受けているように思え、投げやりな態度にならざるを得なかった。

 講習はその日限りでやめた。テニスなどに手を染めず、清い身体のまま死ねばよかったとさえ思った。

 テニスをやめてサッカーに戻りたい、と無性に思うことがよくある。もっとも本当に戻りたいのは、サッカーに燃えていた青春なのかも知れない。

 うーむ、さすがは新田次郎さん、藤原ていさんの次男と思われる頭脳と筆の冴え ・・・おもしろそうだとお思いになりましたら、どうぞ。

 そうそう、この本の冒頭に、藤原さんご夫妻がお子さんが野球チームに入って、その親たちが紅白試合をしたときのことが書かれています。父親の雄姿を見せようと右中間深くへ強打した藤原さんの打球を見事にキャッチしたのは対戦チームに入っていた奥さんだったことが無念の筆で記されています。ちなみに奥さんは藤原さんより12歳ほどお若いようです。

 開店したばかりの本屋さんの古本コーナーで私はこの本を百円で購入することが出来ました。 情報を教えてくださった方、ありがとうございます。

 さて、今日もよい日となりますように。

 

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