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2010年9月 6日 (月)

『オシムの言葉』

0004 『オシムの言葉』

ーフィールドの向こうに

  人生が見えるー

 木村元彦(きむら ゆきひこ) 著

 集英社インターナショナル 

 2005年 12月10日 第一刷発行

 サッカーのワールドカップで、岡田監督率いる日本代表チームの活躍は記憶に新しいところです。

 その岡田監督の前の監督が、オシムでした。サラエボの人です。

 この本は、日本の代表チームの監督に就任する前に書かれています。

 祖国ユーゴの代表監督としてすばらしい成績を上げていたとき、あろうことか祖国が分裂し、代表監督を辞任。すばらしい実績を評価されてたくさんの国・チームから招聘の要請があったのに、実際に足を運んで依頼したただ一つのチームだからと、日本のJリーグのジェフユナイテッド市原・千葉の監督を引き受け、選手たちを鍛えに鍛えて優勝するまでを長年にわたって取材・インタビューして書き上げられた労作です。

 数学の教授か医師になることも選べた人だそうです。いろいろな人にもそれぞれいくつかの選択肢はあったかもしれません。オシムは、経済的な理由もあって、リスクの高い道・・・怪我をしたらそれで終わりになるかも知れないサッカー選手になる道を選びました。

 ユーゴの代表選手として出場した東京オリンピックでは、日本を相手に2ゴールをあげたそうです。その来日のおりに初めてカラーテレビを見て感激したり、選手に無料で提供されていた自転車に乗ってサイクリングしていた時、梨を振る舞ってくれた日本人のホスピタリティが好印象となって、親日家になったそうです。

 オシムは12年間の選手生活で85得点を挙げ、イエローカードを1枚も提示されたことがなかったとのことです。

 読んでいて、この本の著者はサッカーの偉大な指導者としてだけでなく、人間としてのオシムに心から惹かれていることが伝わって来ます。

 オシムの言葉は、ワールドカップを報道する新聞にも掲載されていましたから、通訳として身近で一緒に歩んだ間瀬秀一さんのことばを「第7章 語録の助産婦」から引用させていただきます。

 監督が何かを言う。で100パーセント、日本語で伝える。伝わったはず。なのに、選手ができない時がある。てことは、伝えたことになってないんですよ。意味は伝わっているんですけれど、意図が伝わっていない。選手が理解できなかったり、動けない。あぁ、これは、もうダメだなと。

 例えば、気持ち的にモチベーションをそれで上げられなくて、選手ができないのか。技術的に足りなくて、できないのか。でもやってなかったら、僕が怒られるんですよ。

 そこで、思ったんです。この仕事って、通訳じゃないなと。そこで、やり方、変えたわけですよ。

 (監督が)言ったことをやらせないと勝てないからですから。極端に言うと、通訳としての指導力と言うんでしょうか。言葉を訳す力だけじゃなくて、どうすれば選手ができるようになるのか、そこら辺のやり方を考えました。

 この仕事を通して、間瀬さんは「FIFAの技術委員をしているオシムさんと一緒に力を合わせて闘ってるわけだから。だから、そんな貴重な体験をしている僕が、将来監督としてタクト振るわなかったら、日本のサッカー界に対して申し訳ないと思うんですよ。」とJリーグの監督になるという目標を持つようになったそうです。

  サッカーのことが書かれていますが、副題にあるようにそのフィールドの向こうにしっかりと人生が見つめられている本だと思います。

 さて、今日も、よい日となりますように。

 

 

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コメント

 網戸の外から何やら秋の虫の声が聞こえます。先ほどは風呂の残り湯を道に撒きました。裏山には、くずの赤紫の花が咲き始めました。
 今年のワールドカップは盛り上がりました。結果が全ての世界で結果で示すことは大変なことです。オシム氏の急病で代行した岡田監督も、なかなかいい仕事をされたと思います。見ているだけの人間は無責任なことばかり言いましたが、彼には信念がありました。
 早くも新監督が来日しているようですが、日本代表を日本人監督ではいけないのでしょうか?言葉が通じると言うのは、一つの武器であると思います。
 有言実行のオレ流監督も、最終コーナーの鞭を振るっております。指揮官の頭脳が冴える秋となりますでしょうか?

※ ムーミンパパより
 
 コメント、ありがとうございます。

 ご自身が高校球児であった小島さんがスポーツに寄せる思いは、また格別のものだと思います。
 暑いさなかに繰り広げられるサッカーや野球 ・・・ イチローのヒット数なども含めて今後の展開が楽しみです。

 熱中症で倒れない工夫(そして意地?!)もプロにはあることでしょう。体育大会も、児童生徒自身が自分の体調・健康を守るための知恵を獲得する機会としたいものです。

 昨夜は虫の声、そして心地よい涼風が我が家にも届きました。スポーツの秋、芸術の秋、そして味覚の秋 ・・・ よき日、よき時間をおすごしくださいますように。

投稿: 小島 | 2010年9月 6日 (月) 23時19分

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