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2011年2月18日 (金)

『人生、惚れてこそ 知的競争力の秘密』 米長邦雄 羽生善治

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 『人生、惚れてこそ 知的競争力の秘密』

米長邦雄(よねなが くにお)

羽生善治(はぶ よしはる)

クレスト社 平成8年3月28日 

初版第一刷発行

 米長さんは、昭和18年生まれ、平成5年に最年長名人のなり、平成6年に史上4人目の1000勝達成。

 羽生さんは、中学3年でプロになり、平成元年に竜王位を獲得して史上初の十代でのタイトル保持者になりました。平成8年に前人未到の七冠を制覇しました。

 本書はお二人の対談で成り立っていますが、ところどころに写真と、語録が掲載されています。

米長語録の一つ

 「憶えることと考えることは、まったく違うことで、脳は憶えるという作業では汗をかかない。考えて、考えて考え抜いてはじめて汗をかく。」

羽生語録の一つ

 「将棋というのは大海原のような世界ですね。指していると、人間の小ささを感じる。将棋盤は狭いけれど、将棋の世界はどんどん拡がっていくんです。」

 ほかの棋士のことばも印象的でした。

 羽生さんに王将戦で負けた直後の谷川棋士のことばです。

「今度の勝負はシリーズを通して出来が悪く、フアンの皆さまに申し訳ないし、羽生さんにも申し訳なかった・・・」

 せっかくの七冠達成、できることなら羽生名人に全力をふるわせるような舞台を用意するのが礼儀であるのに、それができず、申し訳ない というのが敗戦直後の弁だったのだそうです。82ページ、83ページにそう書かれているのですが、91ページにこんなことが書いてありました。

 産経新聞の石井英夫論説委員さんが、羽生さん七冠達成の翌々日の平成8年2月16日の産経抄にこう書いておられるのだそうです。

「世間は七冠をとった将棋の天才・羽生善治さん(25)で持ち切りだが、羽生さんのおとうさん・政治氏(61)が発表したコメントというのがいい。人情の機微をつかんで滋味あることばだった。▼長いが、ほぼ全文を引用させていただく。「今回『王将位および七冠を預かる』にあたり・・・私ども家族は現在複雑な心境です。と申しますのは、阪神大震災の中心地、神戸出身である谷川浩司王将が力を十分に出し切れないままに終わってしまったことです」▼「大震災による物理的、精神的な痛手、さらに善治の七冠へのマスコミ報道が谷川王将に重荷になったと思います。七冠奪取、独占など大それた気持ちを持つことなく一時期『七冠を預かる』心構えの棋士であると同時に、社会人として精進するよう望んでおります。」▼その子にしてこの父ありというのもへんだが、こんな立派なお父さんだからあんな清新の青年が生まれたのだろう。

 うーむ、勝負師の非情な世界と思っていたのですが、いえいえ、深みのある将棋の世界なのだなと目を開かれました。

 さて、今日も、さわやかな磨き合いのできるよい日となりますように。

 

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