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2011年2月14日 (月)

『湖底の城』 宮城谷昌光 著

Photo_2『湖底の城』 宮城谷 昌光 著

講談社 2010年7月26日 第一刷 発行

  愛知県蒲郡市出身のこの作家は、三河地方の武士たちの攻防・興亡などの物語も書いていますが、中国の人物についての作品をたくさん書いているかたです。

 そのきっかけは、身分の高い人を警護する衛士の「衛」という漢字の元々の字形を見ると、刀を下げた衛士が建物を守って回る方向も分かるようになっていたことだそうです。

 さて、右、左、どちら回りにすると、害意を抱いておそってくる者にたいしてすばやく抜刀し、貴人の眠る建物を守れるでしょうか。 もちろん、差があるにしてもほんの一瞬のことでしょうが、真の武人はそこまで考えて警護の方向を決めていたもののようです。

  私も興味を抱いて、剣道七段のかたに、右回り・左回りのことを尋ねたことがあります。

 えっ、それで、どちらまわりなのかとおたずねですか?  うーむ、宮城谷昌光さんの別の書にこういう言葉があります。 「人に問うからわからなくなる。 自分に問え」

 興味を覚えた方は、「衛」の文字の成り立ちを調べるか、あるいは剣の達人にねばり強くつきまとってみてください。

 ちなみに、先に述べた剣道七段のかたとは職場が一緒でしたので、いつの日か、丸めた新聞紙で、いきなりお面一本を「隙あり」と打ち込んでみたいと思っていましたが、わたしのそんなふらちな思いを実行させない人格の気高さ、風格を備えておられました。

 今日現在、現職の校長先生で、段も七段から上がっておられるかも知れません。

 さて、かんじんの『湖底の城』ですが、楚の国の伍子胥(ごししょ)という人物を主人公として書かれています。「小説現代」という月刊誌に連載中で、ある程度書き進むと単行本化されるようで、これが第一巻です。

 同じようなパターンで刊行が進展中の『三国志』も九巻まで読みましたが、私の好みから申しますと、『三国志』のように規模がとても大きい作品より、『晏子』(あんし)や『子産』、『太公望』など二巻とか、三巻の、個人の歩み、成長などを描いた作品に魅せられています。

 この『湖底の城』が何巻まで続くのかは分かりませんが、読み進むのが、楽しみです。

 ちなみに、主人公の伍子胥(ごししょ)は、身長が2.25メートル、同時代の孔子は2.16メートルあったと記されています。

 さて、今日もお一人お一人の歴史において、すてきな日となりますように。いえ、バレンタインデーのチョコレートの数や受け渡しがどうのこうのということではありませぬ。

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