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2011年2月12日 (土)

医師 鎌田 實さん その3

 鎌田 實 医師の文章から、3回目です。

 今回は、すい臓がんが転移していて重い症状にあった男性のことです。

 病気のことは受け入れていたが、人生をあきらめていなかった彼は、痛みを口にせず、一人で耐えていたのだそうです。

  ◇  ○  ☆  ※  ☆  ○  ◇

 いよいよ耐えきれない痛みを覚えるようになって主治医に痛みを訴えると

 「痛くない、痛くない、我慢、我慢」と押しつけるように言われ、彼は、心を閉ざした。おざなりのように出された痛み止めの薬は効かなかった。

  家族とのコミュニケーションも少なくなってしまった。

 そういう状態を憂えた家族に伴われて、彼は鎌田医師の勤めている諏訪中央病院の緩和ケア病棟にやってきた。

 この人の痛みを鎌田医師は緩和したいと願った。鎌田医師が考える痛みは次の4つ。

・ 体の痛み

・ 心の痛み

  まだ小さな子どもや家族を残していく心配

・ 社会的な痛み   

  やり残している仕事を何とか完成させたいけれど完成できそうにないという悲しみ

・ スピリチュアル(霊的)な痛み  

  この世から自分がいなくなるという不安  

 これらの痛みは相関していると考える鎌田医師は、痛みを緩和するためにモルヒネを用い、ケアをした。  この男の人は、体の痛みをやわらげてもらいつつ、気になっていた仕事を完成し、家族と小旅行に行くなどいい時間を過ごし、自分らしく最後まで生き、家族や仲間に「ありがとう、さようなら」と言葉を残して逝った。

   ◇   ○   ☆   ※   ☆   ○   ◇

 3回にわたって、鎌田 實 医師の「言葉で治療する」という文を紹介させていただきました。

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 今回の最初に出てくる主治医さんも悪気はなく、励ましだったかもしれません。多くの方の治療に当たって成果を上げているからこそ、その仕事を続けておられるのでしょう。

 ただ、どんなに多くの患者さんと接してこられても、一人一人の患者さんにかける言葉は、その日、その時限りのかけがえのないものとなります。

 私自身、たとえば、進路相談の時に、本当に生徒、保護者の思いを汲んだうえで、プロとしてのあたたかい言葉をかけることができていたかを省みると、とても申し訳ない心になります。志望校に合格、不合格ということを越えてできたこと、しなければいけなかったことがあったのではないかと思います。

   詩  ねがい  八木重吉

  どこを  断ち切っても  うつくしくあればいいなあ

 

 生きている今現在の心のどの断面、生きてきた一瞬一瞬のどこを取りだしても美しかったら、どんなにすばらしいことでしょう。 そして、それは、ほとんどの場合、かなわないことです。

 でも、醜さを自覚すればするほど、ねがいは強まるのですね。

 今日も、よきねがいをもって、歩む日となりますように。

 明日は、日曜日。 キリスト教会の礼拝にお出かけくださいますように。

 

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