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2011年6月30日 (木)

『漱石さんの俳句』

0008

 『漱石さんの俳句』 

 大高 翔(しょう) 著

実業之日本社 2006年12月4日

初版 第一刷 発行

 著者は、少女時代に漱石の『夢十夜』などを読んだとのこと。

 俳人である母、谷中隆子さんに勧められて13歳からハイクを始めたとのこと。いかめしく思われる漱石が俳句の世界では親しみやすく感じ、「漱石さん」と呼びかける思いで、漱石の俳句から50を選び、感想と正岡子規と漱石の交流、ロンドン留学時代の漱石や鏡子夫人のことなどにもふれ、著者自身の俳句も添える内容になっています。

  巻頭には、漱石が子規に送り、子規が朱を入れて返送した句稿のカラー写真が掲載されるなど、なかなかの本だと思いました。

それでは、漱石さんの俳句と、著者、大高 翔さんがその句とセットとなるように記された俳句とを少しですがご覧ください。

 菫(すみれ)程な小さき人に生まれたし  漱石

 藤棚の真昼間吾を幽閉す          翔

  著者は、強い香りに埋もれるようにして、藤に、この世から少しの間、匿(かくま)ってもらう時、ただのわたしとなって安心しているのだとのこと。

 雨晴れて南山春の雲を吐く      漱石

 風暴れやがて風死す漁村かな     翔

限りなき春の風なり馬の上        漱石

妻といふ翼ひらけば青嵐         翔

君が名や硯に書いては洗ひ消す    漱石

 ※ 硯(すずり)洗いは七夕の前日に書の上達を祈って行う行事だそうで  す。旧暦なので、秋の季語となるそうです。

水を恋ひ人を恋ひたる秋の蝶       翔

枕辺や星別れんとする晨(あした)   漱石

 ※ 星別れ  ・・・ 「星の別れ」は七夕の伝説にちなむ季語だそうです。

妻となる愁ひに白き薔薇を抱く      翔

   著者の新婚時代の一句とのことです。

 6月・・・ 世に言うジューンブライドの結びにはよいでしょうか。

 ちなみに、この書の後書きには

  漱石さんが『坊っちゃん』『草枕』を書いて百年後の、秋晴の日に

 と記されています。 うーむ、もう、百年になるのですね。

 さて、水無月のフィナーレ ・・・ よき日となりますように。

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