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2012年1月13日 (金)

『持ち重りする薔薇の花』 丸谷才一

Photo_2 『持ち重りする薔薇の花』  丸谷才一 新潮社 2011年10月25日発行

 図書館の新着図書のコーナーに並んでいたので、手に取ってみました。小説です。ふとしたいきさつから、弦楽四重奏団の発足に携わり、後に世界的な活躍をすることになったその四重奏団の名付け親になった財界人の回想という形で綴られる物語です。

 その弦楽四重奏団「Blue Fuji Quartet」のメンバー、家族を交えて織りなされる人間関係、そしてボッケリーニ、ハイドン、モーツアルト、ベートーヴェン、ラヴェルなどの弦楽四重奏曲の特徴などが描かれています。

 人間関係はともかく、ほかの演奏形式と異なる弦楽四重奏の構成のもたらす緊張感、葛藤、独自性などが作者の音楽観、文明観とつながって描かれているところが印象に残りました。この筆者独自のほどよい旧仮名遣いも面白く思われました。

 現実社会の人間関係の調和、不調和、心地よいアンサンブル、不協和音などなども、音楽と絡めて描いていると言えましょう。

 

 この本の書名は、18世紀のヨーロッパの王侯貴族にとって、お抱えの楽団などがだんだん持ち重りする存在となっていったことを象徴的に表しているようです。印象的な題名ですね。

 今日も、周囲の方とよいメロディ、和音を響かせ合いながら歩むことができますように。

 

 

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