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2012年5月21日 (月)

『孟嘗君』 宮城谷昌光

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 『孟嘗君』 全5巻  宮城谷 昌光 著

講談社 発行  第5巻は 1995年11月30日 第一刷発行 

 中日新聞など6新聞に1993年3月1日から1995年8月31日まで連載された作品を単行本にしたものだそうです。 

 長編ですが、孟嘗君の誕生と成長、その人格、中国の歴史に造詣の深い宮城谷昌光さんが独自の味付けをして展開する世界のおもしろさに惹かれて、ダダダダダーッと読みました。この作者の筆力というものでしょうか。

 以前に読んだはずなのですがほとんど覚えていなくて新鮮に読める・・・うーん、値打ちに本を読める年齢に達したのだと思って(深くは考えず)喜ぶことにいたします。

 第5巻から少し引用させていただきます。 孟嘗君の育ての親は白圭という人物ですが、この白圭は、私財をつぎ込んで人々の生活を守る巨大な堤防を築きます。その仕事に従事する人たちも長年にわたって収入と生きがいを得ることができ、さらに安心して生活を営むことができる環境を手にするわけです。

    ◇  □  ○  ☆  ※  ☆  ○  □  ◇

「一応の竣工はみましたが、完成ということではないのです。人のおこなうことに、完成などないのです。」と白圭はさりげなくいった。理想にむかって人は努力を積み重ねてゆく。理想が完全に具現化することはないとわかっていても、その努力が尊いことはいうをまたない。人の一生もそうであろう。完成などなく、死んで熄(や)むばかりである。しかしながら、白圭のつつみは、各国が築いている長城と、なんとちがうことか。

 白圭のつつみからは人々の歓声がきこえてくるのに、長城からは人々の怨嗟がきこえてくる。 各国の史官は長城の築造については記録するであろうが、白圭のつつみについては無視するであろう。が、民衆はどうか。長城を誇らず、白圭のつつみを誇り、語りつたえてゆくにちがいない。

   ◇  □  ○  ☆  ※  ☆  ○  □  ◇

 今日もよき歴史を刻む日となりますように。金環食の起こる日なのですね。

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