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2012年8月 2日 (木)

『クオレ』

0005 『クオレ』 

エドモンド・デ・アミーチス作 

矢崎源九郎 訳

講談社 2011年3月17日 

第一刷発行

 少年時代に読んで心に残っている本を読むのは、郷愁にも似た思いに動かされてのことでしょうか。

 クオレ ・・・ 真心、愛という意味のイタリア語だそうです。19世紀後半の北イタリアに住む、小学4年生の少年、エンリーコの学校、家庭での生活、そして、担任のペルボーニ先生が毎月話してくださる物語が、書き綴られています。 毎月の物語の一つは「母を尋ねて三千里」ですね。

 内容のいくつかは覚えている本ですが、忘れてしまっていて・・・つまり、とても新鮮に読める話がいくつもあり、新たな感動を味わうことができました。

 忘れていた毎月のお話の中の一つで、今回、印象に残ったのは、「ちゃんの看護人」です。

 フランスに仕事をさがしに出かけた父親が、ナポリまでもどったところで、急病にかかったとの手紙が来て、病気の女の子と乳のみ子をかかえている母親は長男を看病に行かせました。彼は10マイルもの道を歩いてナポリの病院に着きましたが、病院の人に引き合わせられた父親は見る影もなく衰弱した状態で、少年のことも分からないようす。気落ちしながらも看護する少年 ・・・その甲斐があって、病人は、かすかにほほえみを浮かべたと思えるときもあるようになってきました。

 しかし、病状は重く、少年が打ちのめされているときに、退院の挨拶をしている男の声が聞こえてきました。・・・驚いたことに、その男こそ、彼の父親だったのです。入院の時期が同じだったために病院の人が間違えての取り違え・・・ 元気になった父との再会を喜びながら、少年は、今まで付き添った人を看取ることを申し出、父親も、それを認め、一足先に郷里へ帰っていきました。

 ・・・少年は、父親と取り違えて看病していた病人の最期まで付き添い、その気高いおこないに感動して看護婦のくれたすみれの一束も、その亡くなった人に手向けました。そして疲れ切った足取りで郷里に向かって歩き出したのです。

 人の気高さがしっかりと伝わってきました。

 今日も、どこかに志の高さが香るよい日となりますように。

 

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