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2012年9月 3日 (月)

『じょうちゃん』 松谷みよ子自伝

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『自伝 じょうちゃん』

松谷みよ子 著

朝日新聞社 2007年11月30日

         第一刷 発行

 ご存じの方も多いことでしょう。

 児童文学者の坪田譲治さんに原稿を書きためていたノートを見ていただくと「生原稿でこれだけのものを読んだのは初めてです」と言っていただけたとのこと。 「貝になった子供」が「童話教室」という雑誌に掲載され、以来、坪田譲治に師事し、作家へと育てられた松谷みよ子さんの自伝です。

  『龍の子太郎』(国際アンデルセン賞優良賞)、「モモちゃんとアカネちゃんの本シリーズ」(全6巻講談社)、絵本となった作品もたくさんありますね。

  松谷與次郎という大きな仕事をした弁護士の娘であること、その父が交通事故で亡くなった後、生活が一変したことなどをこの自伝で初めて知りました。大きな木は、目に見えないところで大きな根を張っているのだと改めて思いました。

 母が「女は一生台所に他立たにゃならん。だからいま本を読みなさい」とそろえてくれたアルスの日本児童文庫76冊、興文社・文藝春秋社の小学生全集88冊などを皮切りに、たくさんの本に親しんだそうです。

 また、教会の日曜学校で上演され、小学生だった松谷さんが初めて見た人形劇「靴屋のマルティン」が、後年の歩みに影響したことも書かれています。この劇の中の天使の鈴を振るような声がいまも耳に残っているそうで、感受性の強い時代に心を込めたよいものにふれることのすばらしさが感じられました。

 私は、松谷みよ子さんが来岐してされた講演を聞かせていただいたことがあり、「大人と子どもがすき焼き鍋を囲んでいるとき、大人は鍋の中の煮え具合を見ているけれど、子どもは鍋の底にあたる焔を見ている」と子どもと大人の視点の違いを話されたことを懐かしく思い出します。

 今日も、いろいろな視点からものごとを見ることのできるよい日となりますように。

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