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2012年12月28日 (金)

『ピアニストは指先で考える』 青柳いづみこ

0001_2 『ピアニストは指先で考える』 

青柳いづみこ 著 

中央公論新社 

2007年5月10日 初版発行

 青柳さんは、ピアニストで文筆家。

 安川加寿子さん、ピエール・バルビゼに師事され、主にドビュッシー、ショパンなどをプログラムとしたリサイタルを重ねておられるようです。 

 ご専門のピアノ、そしていろいろな音楽家やピアニストについての知識・探究心は幅広く、奥の深いかたです。 

 この本ではコンサートの開き方や衣装・メイクと写真のこと、レコードを吹き込むときのこと、アンコールのこと、曲げた指とのばした指のことなど、切れのいい文章で楽しく読み進むことが出来ます。

 このブログでは、来日した師のバルビゼの公開レッスンのこと、そして暗譜のことを2回にわたって記させていただきます。 

公開レッスンと個人レッスン 

 リストの曲をバリバリ弾きまくる学生さん・・・ 通訳で立ち会った青柳さんにバルビゼは耳打ち ・・・「ひどい、まるで鉄のハンマーでぶっ叩いているみたいだ。いったいどうしたらいいだろう? これが個人レッスンなら、すばらしい! と褒めたたえて帰してしまうんだが・・・・・・」(フランスの先生にはこれがあるので、要注意)。 

 こう書くといかにもいい加減な教師のようだが、そのあとバルビゼはすばらしいパフォーマンスを披露してみせた。会場に向かって、「このなかにピアノ以外の楽器をえんそうする方はいらっしゃいませんか?」と問いかける。運よくホルンの学生が手をあげてくれた。 ステージに呼びあげ、「この旋律を吹いていただけませんか?」と楽譜を指さす。リストの作品にはワーグナーの楽劇によく似たところがあり、その部分はちょうどホルンの音色にうってつけのフレーズだったのである。学生さんがひろびろした旋律を吹くと、バルビゼはピアノでその他の声部を弾きながら情景を説明する。・・・もう一度ピアノの前に座った学生が同じ曲を弾くと、あら不思議。さきほどの鉄砲玉のようなリストとは大違いで、音色は豊かになり、旋律はよく歌い、何より雰囲気がやわらいでいる。楽曲の正しいイメージを与えることがいかに重要か、といういい例だ。 

 引用が長くなってすみません。 書かれているのはピアノ演奏の例ですが、イメージと表現の結びつきの大切さを改めて学んだ思いがいたしました。

 今日も、豊かなイメージを描きながら、思いを込めた言動を周囲に送り出すことが出来る日となりますように。

 

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