« 『近代秀歌』 | トップページ | 手造りのプレゼント »

2013年5月12日 (日)

『おかあさん  私をささえた母の言葉』

Photo 『おかあさん 私をささえた母のことば』  

毎日新聞社学芸部編

 2006年5月1日第一刷発行 

 毎日新聞に掲載された「わたしとおかあさん」(03年8月8日~05年12月21日)の中から100人の方のものを編集して一冊にしたものだそうです。 

 岸田今日子さん、篠田正浩さん、吉行和子さん、坪内稔典さん、などなどたくさんの方々がおかあさんに寄せて書かれた文章に出会えて、宝石箱のようです。 

 なだ・いなださんの文章を紹介させていただきますね。

 ぼくはおっちょこちょいで、サザエさん一家のカツオ君に似たところがあった。男三人の末っ子で、上の二人に、医者になってくれといって断られた母が、「三人も産んだのだから、息子の一人ぐらいおじいさんのように医者になってほしかった」と悲しんでいるのを見て、慰めてやろうと思って、ぼくはいった。

 「母さん、悲しむなよ。ぼくが医者になってやるからさ」。すると、母は、慌てて「おまえだけは医者にならないでくれ」とハエでも追うように手を振っていった。「おっちょこちょいのおまえに医者になられたら、母さんは心配で夜も眠れなくなるよ」 

 ぼくは、それで陸軍幼年学校に進んで、軍人になろうとした。入隊の日に「スパルタの母は、戦場に向かう息子に《死んで帰れ》といったそうだね」と、自分もそうだといいたげだった。戦争が終わって、ぼくが戻ってきたら、「《死んで帰れ》は間違いだったね。死なないでよかった。医者になりなさい。敗戦で、すべての価値がひっくり返って、おまえが医者になってもいい時代が来たよ」とケロッとした顔でいった。 

 今日は、母の日。よい日となりますように。Photo_3

日曜日、キリスト教会の礼拝にお出かけください。 

|

« 『近代秀歌』 | トップページ | 手造りのプレゼント »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『おかあさん  私をささえた母の言葉』:

« 『近代秀歌』 | トップページ | 手造りのプレゼント »