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2013年8月 6日 (火)

『老嬢は今日も上機嫌』

0002『老嬢は今日も上機嫌』

 吉行和子 著 

 新潮社 2008年6月20日 発行 

女優 吉行和子さんのエッセイ集です。

 幼い頃から病弱でぜんそくに苦しんでいた吉行和子さんが女優となったきっかけ、いろいろな人との出会い、出演したいろいろな作品、仲のよい岸田今日子さん、富士真奈美さんのこと、俳句のことなどを豊かな感性・歯切れのよい文章で綴っておられます。

 お母さんが主人公だったNHKの朝のドラマの「あぐり」のところから少し引用させていただきます。

 ・・・美容室は大繁盛。母のあぐりは、その中で朝から夜まで、コツコツと働きづめ。父のエイスケはその収入をきれいに使いはたしていくのが役目、と思っているごとくに、遊び暮らしていた。 (中略) しかし、野村萬斎さんが、あまりにチャーミングに演じられたので、あの困った父も、そうとう得をしている。萬斎さんのおかげで、わが家におけるエイスケの株も上がってしまった。困った人だったけれど、でも素的な人だった、と母まで考えを変えたらしい。(後略)

 俳句のことでいくつかを

吉行さんが好きな俳人なのでしょう、 三橋鷹女という方の句が何か所かで紹介されています。

 夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり 

 何者か来て驚けと巻貝ころがる 

 老いながら椿となって踊りけり

  岸田今日子さんの句も紹介されています。初めて俳句を作ったのが中学年生の時・・・その前年にお母さんが亡くなられ、お父さんの岸田國士さんが幼い姉妹とのコミュニケーションを取ろうとしてか家族だけの句会を始められたのがきっかけだったそうです。

 そのころの句  黒猫の影は動かず紅葉散る

 今日子さんの俳号は眠女 だそうです。

 夏の句  石段を雲まで登る素足だから

        砂粒を残せしはだれ籐の椅子

 ご本人、吉行和子さんの俳号は窓烏 ・・・窓ガラスのもじりかもといわれています。

その窓烏さんの句を少し

 をさなごの笑顔満開青葉風

 白塗りのほどよき笑みや昼の月

 頑なに開かぬままの濃竜胆 (こりんどう)

 眺めよき夏の野菜を買ひ揃へ

 俳句の先輩でもある富士真奈美さんは、吉行さんにオペラの魅力を教えた人でもあるそうです。初めてオペラに連れられていき、椿姫を見ながら、「病人があんなに長いこと歌っていていいの。恋人も体を案じて止めるべきだわ」などと心配していた吉行さんも今はオペラが大好きだそうです。

 友だちって、いいですね。さて、今日も、よい日となりますように。

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