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2013年10月 7日 (月)

『古季語と遊ぶ』

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『古季語と遊ぶ』  ー古い季語・珍しい季語の実作体験記ー

宇多喜代子 著

角川学芸出版 平成19年8月31日 初版発行 

 宇多喜代子さんは、NHKテレビの俳句関係の番組や教科書にも登場する俳人です。

 この本を読んで、ことばとそれぞれの時代の生活・文化がどんなに密接につながっているものかということを改めて思いました。 

 一郷の八月大名みな丸顔

 宇多さんの句です。陰暦の8月は牛耕馬耕の時代にも、ほんのわずかだけ、田仕事から離れてゆっくりできる期間があり、農民たちは、この期間のことを大名の身分に見立てて「八月大名」と呼んだそうです。ただし、それも日射や水が十分で稲が順調に育っていればこそ。 

 牛冷やす・馬冷す ・・・ 田畑を耕した後、頑張って力を発揮した牛や馬をねぎらいつつ、川で洗ってやる ・・・ そういう情景がそこ、ここに見られた時代の季語。 

 蚊帳、そして岐阜の水団扇なども登場しています。

Photo
  本書は、角川書店発行の月刊誌『俳句』に連載されたものを大幅に加筆訂正して構成したもので、宇多さんたちは、できるだけ実物を持って月に一回集まって、どういうものなのかを明確にしてから句を作ったそうです。

 橡の実(とちのみ)の項に、さらして苦みを取るというのが言葉ではかんたんだけれども、どんなに手間がかかることかということ、そして、ある茶店で出会った民俗学を専攻している青年が橡の実の渋抜きの方法、地方による違いなどを詳しく語り、並々ならぬ知識をもっていたこと、けれど、茶店のおばさんが数種類の木の実のはいったざるを持ってきたら、どれが橡の実なのか分からなかったことなどが書かれています。

 それと似たようなことがいつの時代にも起こっているように思え、いろいろな古季語を知るだけでない収穫の多い本です。 

 今日も、地に着いたことばをやりとりできるよい日となりますように。

 

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