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2014年4月22日 (火)

『ショパンを弾く 名演奏家たちの足跡』

0002『ショパンを弾く 名演奏家たちの足跡』

青澤唯夫(あおさわ ただお)

春秋社 2009年10月20日 

第1刷発行

 著者の青澤さんは、音楽評論家、1941年生まれ。本書に取り上げられている古今東西のピアニストは百十数名 ・・・著者が実際に演奏会で生演奏をふれた人、そしてそれと併行してピアノ・ロール、録音テープ、SPやLPレコード、CD、LD、VHD、SACD、DVDなどの演奏音源を可能な限り聴いた上で、書かれた労作です。

 読者が実際に演奏を聴くことの出来る現役世代のピアニスト、邦人は、量的な制約もあって人数も、さいたページも少なくなっています。 音楽は自分の耳で実際に聴いて確かめるに越したことはないという考えからだそうです。 

 印象的な表現が、そこかしこにあります。 

 田中希代子がピアノの前にすわると、演奏会場の空気が一変した。空気が透明に、清々しく引き締まってゆく。さあ音楽が生まれる瞬間に立ち会うのだ!

  ・・・このような評を受けたすばらしいピアニストが、難病、全身性エリテモトーデスに襲われ、さまざまな治療を受けても回復せず、ピアノが弾けなくなってしまったそうです。その彼女の言葉が胸を打ちます。

 「下手でもいい。自分のやりたいことができることに感謝しなさい。」・・・お弟子さんたちに語った言葉

「人間は、生まれてから死ぬまでに失うもの、諦めなければならないものがたくさんあります。そういうものを諦めて、持っている条件の中で、なるべく文句を言わないように、頑張っていこう、と思うようになっていったんです。」・・・「きょうの健康」1994年1月号インタビューから。 

 田中希代子さんは、ピアノを弾けなくなったあと、何人もの優れたお弟子さんを育てたそうです。 

 ナチス・ドイツによって祖国ポーランドを侵攻され、ユダヤ人であるため自らの命や存在意義さえ奪われかねない状況に屈せず、王者の風格のある健康で力強いショパンを演奏し、聴く者を幸せな気持ちに誘うアルトゥール・ルービン・シュタインのこと

 1937年の第3回ショパン・コンクールに東洋人として初めて参加した原智恵子さんが特別に「聴衆賞」が設けられてえ表彰されたこと

 などなど、音楽、人間などいろいろなことが尽きせぬ泉のようにあふれている本です。よろしければ、どうぞ。 

 今日も、よい日となりますように。

 

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