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2014年11月24日 (月)

『アヴェ・マリアのヴァイオリン』

0006 『アヴェ・マリアのヴァイオリン』

香川宜子 著
KADOKAWA  2013年 12月20日 初版発行
 これも図書館でお借りした本です。今年度の小学校高学年の課題図書のようです。←失礼しました。高校生の課題図書でした。
  フィクションなのですが、主なエピソードは実際の出来事を元にしているとのこと。
作品中に、アウシュビッツの生活を生きぬいたチェロ奏者が語る場面があります。
 内心、いやだと思いながら見せかけのことをやっていると、心の中に音楽は響いてこない。毎日練習していると、なにかの時にも神の愛を感じるようになる。そうなると、我々音楽を愛する者は、神の愛を裏切れないのさ。・・・心の中にいつもモーツアルトやシューベルトがいる。音を奏でていなくても、心の中で音は聞こえている。いっさいの理屈を超えた、大きくて温かい満ち足りた世界の中に漂っているよう・・・
 他の人からではなく、アウシュヴィッツの生存者から聞く音楽の意味ほど深く理解できるものはない。
 音楽が好きだというのと、心の中に音楽があるのとは違うんだよ。万人が音楽は好きさ。しかし、演奏する我々は、音にも命があることを知っている。イライラしながら楽器を弾く音はおこっているし、やさしい心で弾くと音は限りなくやさしい音色になる。目は心の窓というが、音も心の窓なんだよ。傲慢な心、いやしい心、ねたむ心、すべて音色に出てくるんだ。
           ◇  ○  ☆  □  ※  □  ☆  ○  ◇
  この本には、第一次世界大戦の時に中国のチンタオにいて日本軍の捕虜になったドイツ兵たちが、徳島の収容所で、畑を開墾し、野菜を育て、家畜を飼う自給自足に近い生活を送り、手づくりの楽器が多かったようですが、音楽を演奏して楽しむことも許されていたそうです。捕虜と監視する人たちとの心の交流があり、ドイツ人の焼いたパンを地域の人たちに売ることも始まって、そのことを通して温かいつきあいも為されたそうです。
 状勢が変わって、本国へ戻れるようになったときにベートーヴェンの第九を演奏して日本人と涙の別れをしたことも書かれています。 こうした奇跡のような出来事が実際に戦争中の世界の中で起きていたのです。
 『アンネの日記』やいろいろなことを想起して、心が痛む場面がありますが、感動するところもたくさんありました。
 読み応えのある課題図書だと思います。
 今日も、よい日となりますように。
 今日は、絵本展などを開くこともある本好きの妹の誕生日、おめでとうございます。

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