「ひとつの歌に導かれて」 武満徹さん
土曜日の夜、NHKテレビで「ららら クラシック」という番組が放送されています。6月6日、その番組に、日本人の作曲家が初めて登場しました。武満 徹(たけみつ とおる)さんです。
ご覧になったかたもおられると思いますが、こんな内容でした。1930年生まれの武満さんは、中学生の時、埼玉に疎開し、労働に駆り出される日々を送っておられました。
1945年、8月15日の終戦を迎える3週間ほど前に、ある兵隊さんが「今日は、君たちにこういう音楽を聴かせてやろう」と、ある一つの歌を手回し蓄音機で聴かせてくれそうです。なんと、それは、当時、敵性音楽として禁じられていた外国の音楽 ・・・シャンソンの「聴かせてよ 愛の言葉を」だったとのこと。 聴かせたことがばれれば、この兵隊さんはこっぴどく罰せられ、聴いた武満さんたちも処罰される時代のことでした。
聴いた中学生たちは、その歌を喜び、とりわけ、感動したのが武満さん・・・戦争が終わったら、自分は音楽の道に進もうと決心したそうです。
その決意通り、音楽家となった武満さんは、後に1983年、上記のことを、NHKの番組の中で、娘さんに語りました。
世界に知られる作曲家となった武満さんは、亡くなる数年前に、あるかたに声をかけられたそうです。
「武満徹さんですね。私は、あなたたちにシャンソンを聴かせたあのときの兵隊です」
思いがけない再会・・・しばらくの間、武満徹さんは、路上で直立不動の姿勢をとったまま動けなかったそうです。
1996年2月20日、武満さんの訃報が伝えられ、小澤征爾さん、アンドレ・プレヴィンさんたち、世界中の音楽家や多くの人たちが悲しみでいっぱいになり、ニューヨーク・タイムズも追悼の記事を掲載しました。
尺八などの和楽器とオーケストラの楽器を用いて演奏された、世界に武満徹さんの名を轟かせた「ノーベンバー・ステップ」は、楽譜の縦の長さが1メートル近くに及ぶ大作。
その他、テレビドラマ「夢千代日記」などの音楽を担当されました。
作詞もされた「翼」という合唱曲、その他の作品も、多くの人に愛され続けています。
合唱曲としての比類ない美しさを、ぜひ、ユーチューブなどでご鑑賞いただければ、と思います。
下記の歌詞は、次のURLから転載させていただきました。
http://bunbun.boo.jp/okera/tato/tubasa_take.htm
翼(Wings) 【F】 | ||
作詞 作曲 |
武満 徹 | |
1 | 風よ雲よ光よ 夢を運ぶ翼 遥かなる空に描く 希望という字を 人は夢見 旅して いつか空を飛ぶ | |
2 | 風よ雲よ光よ 夢を運ぶ翼 遥かなる空に描く 自由という字を 人は夢見 旅して いつか空を飛ぶ ひとりの兵隊さんの意志ある行動から、世界的な作曲家、武満徹さんが 誕生したことに心を打たれました。 ※ この番組を見逃していた私に、録画していた番組を見る機会を与え てくださった、飛騨高山をともに故郷とする先輩クリスチャン、 先輩教師である I.Oさんに感謝申し上げます。 今日も、よい日となりますように。 日曜日、キリスト教会の礼拝にお出かけください。 |
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