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2015年11月22日 (日)

『湖底の城』 ー呉越春秋ー 第6巻 宮城谷昌光

0005 『湖底の城』 ー呉越春秋ー 第6巻

宮城谷昌光 著
講談社 2015年9月16日 第1刷発行
 『湖底の城』は月刊誌「小説現代」に連載されていて、それが1年に一回、単行本として発行されるということのようです。
 第6巻にいたるまでに6年かかっているということで、この本を図書館の棚に見出すのは、年に1回の楽しみになっています。
 私にとっての難点は、新しい巻を手にしたとき、その巻までの内容をどれだけ思い出せるかということです。とは言え、それは私の側の勝手な事情でして、新しい展開を詠む楽しみは、難点を克服してたいへん大きなものがあります。
 さて、第6巻で心を惹かれたのは、主人公の伍子胥(ごししょ)が、父と兄を殺した国、楚の軍隊に大勝し、敗走した楚王が逃げ込んだ随に引き渡しを迫った場面での随のありかたです。 このとき、伍子胥は呉の国の高官となっていて、後に孫子と呼ばれるようになった軍事の天才、孫武の大計によって強国である楚を破ったのです。勝った勢いに乗る呉の要求に、小国である随はどう対応したでしょうか。
 随の返答は、こうでした。
  ◇    □    ○    ☆     ※   
 随は辺境にある小国で、楚にきわめて近いので、今まで楚に依存し、代々盟誓を重ねて今日まで歩んできました。危難が迫ってきたという理由で、楚を見捨てるようなことをすればこの先、呉にどのように仕えたらよいのでしょうか。呉王をお輔(たす)けになっているかたがたの患(うれい)は、楚王ひとりではないでしょう。楚の国境から撤退して穏便に処理してくだされば呉王にお仕えして、御指図に従います。
      ◇    □    ○    ☆     ※ 
 それまで、必ずしも楚という国は、随を優遇してきたわけではなかったのですが、窮鳥となって逃れてきた楚王を身をもって呉から守り通す決意を示したのです。圧倒的な武力を備え、楚王を引き渡せば、領地を広げてあげようという利を目の前にぶら下げての呉の要求に応じなかったのです。
 この随の国のありように、呉の王は、「随の君臣はそろって気骨をそなえている」と心を打たれ、伍子胥の意向を尋ねた上で、軍を撤退させました。
 小国であった随 ・・・けれど、志は高く、天に恥じない在り方を危急の場合にはっきりと示しました。
 国というのは、こうありたいですね。 強く思います。 さて、読み進めながら、ひょっとしてこの物語は第6巻で終わるのではないかという思いにとらえられていました。巻末に「第7巻に続く」とあり、私の楽しみは、来年も続くことになり、喜んでおります。
 さて、今日もよい日となりますように。
 日曜日。キリスト教会の礼拝にお出かけください。

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