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2015年11月19日 (木)

『沈黙の王』 宮城谷昌光

Fullsizerender 『沈黙の王』

宮城谷昌光 著
文藝春秋社 平成4年9月15日
 収められているお話の最後、「鳳凰の冠」の一節が心に残りました。晋の叔向(しゅくきょう)という人物について、司馬侯が抱いた感慨の表現です。
 司馬侯は叔向の変化に気づいたことがあった。まっすぐで枝ぶりのよい木にしかみえなかったものが、急に根をはり、ひとまわり大きく見えた。叔向から博識をふりまわす嫌味がとれたとも見えた。 ー 知識が臓腑にまで達したな。 司馬侯はそう思った。
 テレビを見ていると、その人の内部に根を下ろさないままになっているものを目一杯以上に外に出している感じ・・・分数でいうと分子が分母より大きい仮分数の不安定さを感じることがあります。
 上記の文は、その正反対で、分子が大きい真分数の状態を見事に言い表しているように思い、感動しました。
 宮城谷昌光さんの著作のフアンである私は、数年前にこの本を読んでいるのです。ところが、とっても新鮮に読むことになりました。 きれいさっぱり、前回読んだことが頭からぬけてしまっているのです。
  でも、落ち込むのは、やめにしました。体の食事の場合、いままでに何回、たとえばカレーライスやカツ丼や鉄火どんぶりなどなどを食べてきたことでしょう。いつ食べたときは五切れだったが別の時は刺身が六切れだったということなどは覚えていませんが、その時々は美味しく味わったのです。
 読書の場合も、いつ何を読んだかを忘れても、読んでいるその時には心も脳も栄養分をもらって喜んでいた ・・・ そう考えることにしたのです。
 少し無理があるかも知れませんが、こう考えていい部分も確かにあると思います。楽しく、本と向き合っているその時、その時を大切にしたいと思います。
 今日も、よい日となりますように。

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コメント

私の町に新しい図書館ができました。
そこには、たくさんの友達が待っています。
新しい友達、古い友達・・・。古い友達の中には、失礼ながら忘れてしまって初対面のように感じる方もあります
けれど、そこは古い友達、つきあうにつれて心が和みます。やっぱりいい方だわ・・・と。
そのようにして、わたしは本とつきあっています。

※ ムーミンパパより
 すてきなコメントありがとうございます。 推理小説を読んでいて、「あっ、犯人がすぐに分かった」と、自分はホームズのようになれるかも、と思ったことがあります。ほとんど読み終わる頃になって、以前、そのミステリーを読んだことを思いだした・・・というのが、私のオチです。

 それはともかく、読むたびに発見がある本が確かにありますね。 新しい図書館の誕生、おめでとうございます。 これからも、よき本とたくさん出会うことができ、よい日々となりますように (^J^)

投稿: | 2015年11月19日 (木) 22時46分

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