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2016年6月12日 (日)

『泣き虫ハアちゃん』

Img1『泣き虫ハアちゃん』

河合隼雄 著

新潮社 2007年11月30日 発行

 巻末に河合隼雄さんの奥様、河合嘉代子さんの文があります。それによりますと、この本は、河合隼雄さんが遺した最後の本だとのこと。連載中だったこの『泣き虫ハアちゃん』は、河合さんが脳梗塞で倒れたため、未完で終わったそうです。

 この本の舞台は、河合さんが生まれ育った兵庫県・丹波篠山(ささやま)。話はフィクションですが、河合隼雄さんの少年時代のイメージそのものと言っていい、と奥様は書いておられます。主人公の泣き虫ハアちゃんは、男ばかりの六人兄弟の五番目 ・・・ その設定も同じようです。

 この本を書くまで、思い出というものを書かなかった河合さん ・・・ なぜか書き始められて、結果的に置き土産になったのは、なんだか不思議な巡り合わせでしょうか。

  幅広い能力を開花させ、著書の多い河合隼雄さん・・・ 多くのお仕事の中で、特にカウンセラーとして、たくさんの方と、そのご家族を涙の中から立ち直るお手伝いをなさった河合さんが、少年時代、泣き虫だったのは、不思議と言えば不思議。 それだからこそ、よきカウンセラーになったとも言えそう・・・ やはり、人間の歩み、人生は奥深いものですね。

  この本に載っている谷川俊太郎さんの詩をご紹介いたします。

 来てくれる

      河合隼雄さんに

                   谷川俊太郎

 私が本当に疲れて  生きることに疲れきって  空からも木からも人からも

 目を逸らすとき  あなたが来てくれる  いつもと同じ何食わぬ顔で

 駄洒落をポケットに隠して    

 あなたの新しい物語は  もう始まっているのだろうか

 あなたの老獪な魂は ふさわしい木の洞を見つけたのだろうか

 心の中でそう問いかけても  あなたは答えない いつものように

 あなたは黙って待っている

 気づかないうちに  私は自分で答え始める

 あなたの新しい物語の中で  あなたとともに生きようとして

 あなたの魂の吹く笛の音に誘われて  ふたたび私は取り戻す

 空に憧れ木と親しみ人を信ずることを  (後略)

   ◇    □    ○   ☆   ※

 今日も、よい日となりますように。

 日曜日。キリスト教会の礼拝にお出かけください。

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