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2016年6月16日 (木)

『嬉しうて、そして・・・』

Img11『嬉しうて、そして・・・』

城山三郎  著

文藝春秋 

2007年8月18日 第1刷 発行

  芭蕉の句 おもしろうて やがてかなしき 鵜舟かな を連想させる書名ですね。 城山三郎さんは、名古屋生まれだそうで、それを知って少し身近に感ずるようになりました。

 書かれた作品の中ではNHKの大河ドラマとなった「黄金の日々」が、私は好きです。

  読書好きで、足しげく通った図書館が休館していて、その日に同じく図書館にやってきた女性と少し、会話・・、後に再会する奇跡的な機会があり、その女性と結婚された。 運命の赤い糸 ?! 

 先に、その奥様が召され、城山三郎さんもお亡くなりになった後に、『そうか、君はもういないのか』 という本が城山三郎さんの次女、井上紀子さんと新潮社編集部の手で、遺されたメモや原稿を再編集して出版されました。これは、テレビで放送され、多くの人の共感を呼びました。

 さて、この本『嬉しうて、そして・・・』を読んでいて、気骨の人 ということを改めて思いました。

  収められている文章に「指導者の覚悟について」という、ある政党の勉強会での講演があります。その講演で、城山三郎さんは、宰相、浜口雄幸さんの政治家としての生き方をきっちりと語っておられます。

             ◇    □    ○    ☆    ※

  政治家は国民の道徳の最高の基準を生きなくてはいけない。国民全員が見ている。自分たちの生命とか幸福が政治家たちの行動にかかっているわけですから、非常に大きな期待をもって見ている。だから国民の道徳の標準を超えていなくてはならない。「およそ政治ほど真剣なものはない。命がけでやるべきものである」とも言っています。 ・・・浜口はその言葉どおり命を捨てて金解禁をやり遂げました。 後藤新平に声をかけられ、俸給が10倍以上になる機会でしたが、塩の専売という、民間の恨みを買う、やりづらい仕事をやりかけたのは自分 他の人は私ほどには責任を感じないでしょう、どんなことがあってもこれをやり遂げますと言って、誘いを断ったのだそうです。

  金解禁は、どんどん膨張する軍の予算を抑える唯一の手段として断行し、自分の身を警備する費用も人員も削りました。その彼がほとんどガードのない状態で、東京駅で撃たれました。

 首相代理が、必ず今国会中に浜口首相は出席しますと答弁した・・・その後症状が悪化し、絶対安静となったそうですが、末の娘さんの手をつかんで、こう語ったとのことです。

 「お前に最後の頼みがある。国会に立つという約束は、国民に対する約束だ。自分はどんなことがあっても立ちたい。そうしなければ・・・総理たる者が約束を破れば、国民はいったい何を信じて生きていけばいいのか。だからどんなことがあっても、自分を国会に出してくれ」と。

 娘さん・・・大橋富士子さんは、靴も履けなくなっている浜口総理のズボンに靴の形に切った布を縫い付けて、お母さんや医師を口説いて国会にお父さんを出したそうです。   まもなく、浜口総理は亡くなりました。

           ◇    □    ○    ☆    ※

  政治家のかたがた そして、それだけでなく、私たちの姿勢をただしてくれる 厳しい、そして崇高なお話ですね。

  今日も、よい日となりますように。

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コメント

毎日楽しんで学ばせて頂いてます。
色々な角度から、私たちをご指導いただき感謝です。思いを交換したいことばかりですが、表現もまずいので、遠慮しています。
大変でしょうが、すばらしいブログをお元気で続けてください。有難うございます。

※ ムーミンパパより
 こちらこそ、いつもあたたかいお言葉を励みとして、つたないブログを連載させていただいています。ありがとうございます。
  私自身のトレーニングのようなものですので、指導などとは、みじんも思っておりません。気軽にお考え・お声を寄せていただければ感謝です。  これからも、どうぞ、よろしくお願いいたします。

投稿: 夢希 | 2016年6月16日 (木) 13時46分

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