『心にある 癒す力 治す力』
心理療法の現場から 下
河合隼雄 著
講談社 200年3月9日 第1刷発行
図書館でこの本を見かけ、門外漢の私には難しいかなと思いながらも手に取り、読めなかったら、そのときは潔くそのまま返却しようと借りてきました。
いざ読み始めましたら、「夢分析」・「箱庭療法」・「アトピーから拒食」「産業臨床心理士」などなどそれぞれの道に長年携わってこられた方の実践を河合隼雄さんが要所を心得て聞き出し、それぞれの方もプライバシーにふれないように事例を分かりやすく語ってくださっていますので、読み終えることが出来ました。(一文が長くなっていてすみません)
産業臨床心理士さん 人は、務めている企業、会社の在り方に、かかる病気、発病の要因などがとても大きく影響を受けているということに驚いた。
小児心理の専門家 未熟児のお母さんで、子どもを小さく産んでしまったと落ち込みがち、引っこみがちになっていたかたが、発達検査に立ち会ってもらっていたら、「あらっ、こんなこともうちの子はできるんですか」とびっくりし、喜ばれ、以来、積極的に外に出るようになったり、集団活動に参加できるようになられた ・・・未熟児の発達検査は、じつは発達育児支援の場として大切 ということが心に残りました。(ああ、また文が長くなりました。 すみません)
「夢分析」に長く携わっている専門家の結びの言葉 「夢って、いったい誰がつくっているんでしょうねぇ。考えると不思議でならない。」
河合さんのコメント:このかたのような適切な分析家がちゃんと夢に対応してくれると、夢も記憶しやすくなるし、内容も変わってくる ・・・
「箱庭療法」についても、具体例に基づいて、変容、成長が解説され、どうなったときにこの療法の卒業を迎えるかということも述べられていて勉強になりました。
ただ、「生兵法は大けがの元」という言葉もあるように、素人の私が分かったような気になってしまうことが実は一番気をつけなければいけないことだと思います。 関心のある方はご自分でお読みくださいますように。
たとえば、「拒食症」という病気があることが広く知られるようになると、その病気にかかる人が増加する というようなジレンマが生じてくることも書かれていて、うーん と私も考え込んでしまいました。
心という深い世界を仕事になさるかたは、やはりよい師について長い年月、真摯に学び、誠実な構えで実践を築いて、なお謙虚にそれぞれの人に向かい合い続けなければならないのだと改めて思いました。
今日も、よい日となりますように。
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