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2016年8月 8日 (月)

詩 「夕方の三十分」 黒田三郎

 昨日、卵の話を書きました。内容につながりはありませんけれど、今日は、卵の登場する詩を・・・。

※ この記事が未完のまま、5日11時ころから6日に気付くまでブログに顔を出してしまっていました。すみませんでした。完成して改めての登場です。

 夕方の三十分 <黒田三郎>               

コンロから御飯をおろす
卵を割ってかきまぜる
合間にウィスキーをひと口飲む
折り紙で赤い鶴を折る
ネギを切る
一畳に足りない台所につっ立ったままで
夕方の三十分

僕は腕のいいコックで
酒飲みで
オトーチャマ
小さなユリの御機嫌とりまで
いっぺんにやらなきゃならん
半日他人の家で暮らしたので
小さなユリはいっぺんにいろんなことを言う

「ホンヨンデェ オトーチャマ」
「コノヒモホドイテェ オトーチャマ」
「ココハサミデキッテェ オトーチャマ」
卵焼きをかえそうと
一心不乱のところへ
あわててユリが駆けこんでくる
「オシッコデルノー オトーチャマ」
だんだん僕は不機嫌になってくる

化学調味料をひとさじ
フライパンをひとゆすり
ウィスキーをがぶりとひと口
だんだん小さなユリも不機嫌になってくる
「ハヤクココキッテヨー オトー」
「ハヤクー」

かんしゃくもちのおやじが怒鳴る
「自分でしなさい 自分でェ」
かんしゃくもちの娘がやりかえす
「ヨッパライ グズ ジジイ」
おやじが怒って娘のお尻をたたく
小さなユリが泣く
大きな大きな声で泣く

それから
やがて
しずかで美しい時間が
やってくる
おやじは素直にやさしくなる
小さなユリも素直にやさしくなる
食卓に向かい合ってふたりすわる
  ◇   □    ○   ※   ☆
 ダスティン・ホフマン 主演の映画 「クレイマー クレイマー」を思い出されたかたもおありかもしれませんね。映画では、フレンチトーストを作っていたような・・・。
 詩人って偉大だなぁと改めて思います。 これだけの文字数で、夕方の三十分間が活写されているのですから。
 今日も、心に残る時間の生まれる よい日となりますように。
0005
  8月7日の朝、キリスト教会の礼拝堂を彩ってくれていた花たちです。ありがとうございます。
 

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