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2016年9月12日 (月)

『荘子は 哭く』

『荘子は 哭く』

小嵐 九八郎 著

実業之日本社 1999年10月25日 初版第1刷発行

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   小嵐 九八郎(こあらし くはちろう)さんは1944年、秋田県のお生まれだそうです。
 このかたの小説を読むのは初めてでした。 (今回、図書館では少しでも自分の殻を破ることが出来ないかと、今まで借りたことのない作家や分野の本を借りてみました。)

  『荘子は哭く』は荘子(作品では大半のところで荘周となっています。)の押しかけ女房となった淑玉の腹違いの弟、青湖の目から、破天荒に見える荘子の言葉と行動が描かれ、展開していきます。

  464ページの大作 特に次の三箇所に惹かれました。

       ◇    □    ○    ※   ☆

 青湖が、失恋して、死をも思うようになった状態のとき、普段は無関心でいるように見える荘子が実に親身になって、その状態から蘇生させます。

 特に印象に残ったのは

「・・・それよりどうだ、郊外へ出て大空とでも遊ばねえか。雁が北に帰りはじめているぞ」です。

 二つ目は、長年連れ添った妻、淑玉の臨終の場面で、普段は美醜についてはほとんど論じない荘子が、妻にかける言葉です。

「淑玉、綺麗だぞ。いまが、一番、美しい。出会った時には想像つかないほど美に磨きをかけたな」

 三つ目は、結婚した青湖と妻の間にあるぎくしゃくした思い、わだかまりがこれからの年月で解消していく希望をわき上がらせる言葉です。

「最初から死に至るまで仲の良い夫婦など信用できない。それはかえって気持ちが悪い。諍い(いさかい)の一つ一つで艶(つや)が出てくるのだと居直りの気分へと変えてゆく。(それを荘子と結婚しての長い歩みで示してくれて)姉上、ありがとう・・・・」 

 茫洋としているように見える荘子が、一見、才覚に溢れてみえる人物を完膚なきまでにやっつけるところが何回か出てくる面白さもあります。

             ◇    □    ○    ※   ☆

※ ただし、この作品、荘子は一夫一妻を守って貞淑なのですが、王様が第七婦人まで抱えていたり、盗賊集団で手柄を立てた者に、褒美として女性が与えられるなど、そういう箇所がけっこう多くありますので、特に女性にはお薦めしません。

 それは別として、荘子の生き方、考え方には魅力があると思える作品でした。 上記の三つの言葉で、読んだ気になっていただくのが良いと思います。

 今日も、よい日となりますように。

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