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2016年9月13日 (火)

ぶどうの季節 「走れ メロス」 と結んで その1

 岐阜市を流れる長良川、鵜飼が行われる長良橋の上流右岸では、ぶどうの店が並んでいます。丁寧に育てられ、収穫されたぶどうは、とても甘く、実りの秋を実感させてくれます。

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 毎年、この時期になると、「走れ メロス」(太宰治)の一節を思い出します。

  ご存じのように邪悪に対しては人一倍に敏感な牧人メロスは、人を信じられなくて次々と殺している王を除かなければならぬと王城に入り、捕らえられてしまいます。暴君は妹を結婚させて戻ってくるので三日間の日限を与えて欲しいというメロスの希望を、メロスの無二の友人、石工のセリヌンティウスを人質とすることで、かなえます。

 十里の道を急いで帰ったメロスは、妹の花婿となる牧人に、「結婚式を明日にしてくれ」と頼みます。  突然の申し出に婿の牧人が口にするのが「それはいけない。こちらにはまだなんの支度もできていない、ぶどうの季節まで待ってくれ」と答えるのです。

 やっと、ぶどうが出てきました。後を急ぎますね。

 なんとか、婿を説得し、妹の結婚式を挙げさせたメロスは、セリヌンティウスが自分を信じて待つ王城へと出発します。

 豪雨で激流となり、橋も破壊されてしまった濁流を泳ぎきり、一隊の山賊も何とか振りきりましたが疲労困憊し、身も心も萎えて、死刑の場に刻限に間に合うように帰るのを放棄しようかと一瞬考えてしまいます。

 しかし、岩の裂けめから湧き出ている清水を飲んで元気を回復したメロスは、また走り始めます。走れメロス・・・そして、ついにぎりぎりで友の待つ刑場に到着。

 身代わりの死の一歩手前で縄をほどかれたセリヌンティウスに、メロスは途中で悪い夢を見たことを告白し、「力いっぱいに頬を殴れ。・・・きみがもし殴ってくれなかったら、私はきみと抱擁する資格さえないのだ。殴れ。」と言います。

 それに続く一文を、教科書から正確に引用します。申し遅れました。その場面を国語教師であった私は中学二年生と読んでいたのでした。

 ◇    □    ○    ☆   ※

 セリヌンティウスは、すべてを察した様子でうなずき、刑場いっぱいに鳴り響くほど音高くメロスの右頬を殴った。

           ◇    □    ○    ☆   ※

 メロスとセリヌンティウスの、ごまかしを許さない強い友情が胸に伝わってくる感動の名場面 ・・・ 

 と、ところが、ここで、生徒から質問が出たのです。 それも、思いがけない質問でした。

 「先生、セリヌンティウスは、左利きだったのですか ?」

 えっ なぜ、感動の名場面で、こういう質問が ?

 うーん、 明日、続きを書かせていただきます。 上の、引用文とこの質問をつきあわせてお読みになって、明日をお待ちくださいますように。

 ※ 気を持たせてすみません。私の国語教師生活の中でも忘れることのできない学びがこの後、展開いたします。

 今日も、よい日となりますように。

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