『対話する家族』 河合隼雄 その1 まねをしないで
河合隼雄 著
潮 出版社 1997年9月9日 初版
1997年9月30日 二刷
図書館で、この本を見かけて、「あれっ」と思いました。 本が「ちょっと寄っていってよ」とウインクしたような感じがしたのです。そういえば、今まで見かけなかったような気がしました。
借りてきて読み始めると、一つのタイトルが2ページか3ページで読みやすく、そして、ああ、こういう話を読みたかったんだと思う内容の連続です。
不思議な気がしましたが、たとえばある食べ物を見て、食べたいと思うときには、身体がその食べ物の栄養素などを欲しているときだ というような感じなのです。 いくつかをご紹介したいと思います。
まねをしないで
NHKで「シューベルトを歌う」という番組をみていたら、講師のエディ・フィッシャーさんが、歌ってみせ、、生徒がそれを聴いて歌い始めるとすぐに「まねをしないで」といったとき、「たましいからたましいに何かが伝えられる」場をみた感じがして感激した。
生徒に教えようとしてしていたのはその「歌い方」を真似よということではない。自分が歌っているような「たましい」をもって、生徒が自分の歌を歌うように、ということなのだ。先生は、言うならば、シューベルトのたましいを自分はこう感じとっているのだと伝え、それを受けとめることが生徒にとって大切なのであって、先生の真似をしてもはじまらないのだ。
( 中略) このことは、何を教えるにしろ、教育の本質として大切にしたいことだと思った。
◇ □ ○ ※ ☆
この文章を読んで、グライダーと飛行機の違いを連想しました。
グライダーは自分以外の何かにひいてもらって空に出発するのですね。いつまでも先生に手ほどきしてもらって、その先生の風を受けて動いているのでは、自立できません。小さくても、自分のエンジンを大切に育てていくことを忘れないで歩んでいきたいと思います。
今日も、よい日となりますように。河合隼雄さんのこの本のこと、あっと二回書かせていただく予定です。
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