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2017年3月15日 (水)

『蜜蜂と遠雷』 その2

『蜜蜂と遠雷』0002
恩田 陸 著

幻冬舎 発行

  あれっ どこかで、この本、みたような と思いになった方、 記憶力がいいですね、と書くと、失礼ですよね、何しろ、二日前に、掲載いたしましたから。

  そのときは、本の帯をつけていましたから、少し、印象は変わるかもしれません。

 結局、500ページほどのこの本を、先へ先へと読み終わってしまいました。

 ちょうど、クリスマス前に、薄く切ってクリスマスまで保つつもりだったクリスマス・シュトーレンを食べ終わってしまったような心地です。

  二箇所、引用紹介させていただきます。

 □    ◇     ○     ※    ☆

 ピアノコンクールに出場している二人の会話から

「僕はピアノ好きだよ」   「どれくらい」

「そうだなあ 世界中にたった一人しかいなくても、野原にピアノが転がっていたら、いつまでも引き続けていたいくらい好きだなあ」

「誰も聴く人がいなくても?」  「うん」

「聴く人がいなくても音楽家と呼べるのかしら」

「分からない。だけど、音楽は本能だもの。鳥は世界に一羽だけだとしても、歌うでしょ。それと同じじゃない?」

「そうね。鳥は歌うわね」 「でしょ」

        □    ◇     ○     ※    ☆

 音楽。それはたぶん、人間を他の生物とは異なる、霊的な存在に進化させるために人間と一緒に生まれ落ちてきて、一緒に進化してきたのだ。・・・人間という存在にほんの少し、地上の重力のくびきを逃れるための、何かを付加するとしたら。 それは、「音楽する」ということが最もふさわしいのではないか。目に見えず、現れてはその片端から消えていく音楽。その行為に情熱を傾け、人生を捧げ、強く情動を揺さぶられることこそ、人間に付加された、、他の生き物とを隔てる、いわばちょっとした魔法のようなオプション機能なのではないか。

        □    ◇     ○     ※    ☆

 ※ 二箇所目は、実は、端的ですてきな表現の箇所があったのですが、付箋を付け忘れ、探しても、出てこなくなってしまっているのです。 そのピンチヒッターで上記の箇所に登場してもらいました。

 すみません。

 でも、読後感もよく、私には、よき時間を提供してくれる本でした。

 よろしければ、どうぞ。

 本日も、よい日となりますように。

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コメント

「ムーミンパパに送る前にすぐ読みなさい」と渡されて、母の肺炎球菌ワクチン接種待ちしながら 一気読みを 先にさせていただきました。まさに 一息で読みたくなる本でした。楽曲をこんなに文字で書きあらわせるなんてすごいと思いました。コンクール結果は私の予想とは違いましたが、ピアノコンクールに生徒を送った15年間ぐらいの経験から、その場だけまるでミューズが降りてきたように弾き、本命を越える演奏をするかたがあったことなども 思い出し 血が騒ぎました。楽しかった!!! この本も 生徒たちと一心同体になってのコンクール挑戦も!

※ ムーミンパパより
 おお、そういういきさつがあったのですね。ありがとう。
コンクールに出て活躍するピアニストにはそれまでそのピアニストとともに歩んで育ててきた師がいて、コンクール中も見守っているのですね。そして、その師たちは自分自身が登場するとき以上にドキドキしているのかもしれません。読後感がさらに深まりました。

投稿: kei | 2017年3月15日 (水) 00時18分

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