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2017年5月24日 (水)

みをつくし料理帖6 『心星(しんぼし)ひとつ』

0014みをつくし料理帖 6 『心星(しんぼし)ひとつ』

高田 郁 著

角川春樹事務所発行 

2011年8月18日第1刷発行

2014年5月18日 歳14刷発行

 武家育ちのお嫁さんの料理修行

 じーんと来る場面・言葉の多いこのシリーズです。 その中で、思わず笑い転げたのが、主人公である料理人、澪(みお)に夫の喜ぶ料理が作れるようになりたいと料理修行の依頼に来た早帆(さほ)という身分の高い武家育ちのお嫁さんの、こういう台詞です。

 家内に料理見習いの身であるムーミンパパも、なんだか優越感を持ってしまいそうなほどの口上です。

   □   ◇    ○   ※   ☆

 「恥をお話ししますが、嫁して十三年、一向に料理が上達いたしませぬ。私の嫁した家では本来、調理は奉公人に任せて、献立などの指図をするだけでよいのですが、たとえ時折りでも、私は自身で試みたい性質(たち)なのです。」

 早帆は、少し顔を赤らめ、声を落とすとこう続けた。

 「夫の好物のかき揚げを作れば、歯こぼれしそうなものしか出来ず、里芋の煮付けはえぐいばかり。煮魚はぱさぱさで、焼き魚はぐずぐず、鮎飯は焦げ焦げで栗飯はごわごわです。」

「私の作る料理を食べたくない、と泣いて里に帰った侍女もおります」

「せめて湯豆腐くらいまともに、と試すのですが。ありえないほど鬆(す)が入って軽石のようになるのです。作った本人が申すのも何なのですが、食べ進める内に豆腐なのか軽石なのかわからなくなりました。」

      □   ◇    ○   ※   ☆

 聞いていたひとたちがぷっと噴きだして、飾らない早帆の人柄が、皆の心を捉えた  と続きます。

 さて、このお嫁さんの料理修行、この先どうなるのでしょう。

 それにしても、この『みをつくし料理帖』全10巻を書かれた 高田 郁さんの筆運び、構想などなど、なんとすばらしいのでしょう。すっかり魅了されております。

 この早帆さん、武術にかけては、その母上とともに並々ならぬ実力の持ち主のようですよ。

   今日も、よい日となりますように。

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