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2017年8月10日 (木)

『花の俳人 加賀の千代女』

0002『花の俳人 加賀の千代女』

清水昭三 著

アルファベータブックス

2017年4月20日 第1刷発行

 加賀の千代女といえば、次の句がよく知られています。

 朝顔に釣瓶とられてもらひ水

 この本では、長年考えて

 朝顔や釣瓶とられてもらい水

 と、切れ字にする勇気がわいた、と晩年近くのところで記されています。

  私は、上記の句しか知りませんでしたが、物語とドキュメントのまざったような筆遣いで、千代女の生涯、俳句などが紹介されています。

 百なりや つるひと筋の 心より

 これは、千代女が永平寺を訪れて、「三界唯一心を俳句にしたらどうなるか」と問われて詠んだ句で、百ほどのひょうたんも、実はたった一本の蔓に成るのと同じように、人間の全ての言動もこの一つの心から出るものですという意味を込めているそうです。

 加賀百万石の当主が、朝鮮通信使に持たせる土産として千代女に俳句を詠むようにと注文したこと、芭蕉の高弟、各務支考と交流したこと、『奥の細道』に倣ってか、65歳の時、山陰山陽の旅日記、『老足の拾ひわらじ』を書いたことなど、この本を通して、千代女がどんな人で、どんな歩みをしたかが分かる思いがいたしました。

 曙や蚊のうろたゆる枕元

 暑き日や水も動かぬ山の影

 蝶はゆめの名残わけ入る花野かな

  ◇   □   ○   ※  ☆

 うえの蝶の句は、

 芭蕉の  この道や 行く人なしに 秋の暮れ

の句に、心打たれながらも、女性である自分は蝶となって春の花野に入りたいという心を詠んだものでは・・・ と控えめに著者は書いておられるように思いました。

 一つの句、ひとりの人の人生  深く、広いものですね。

 今日も、よい日となりますように。

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