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2018年1月 9日 (火)

遠藤周作さん 狐狸庵先生

 昨日の『老いてこそ遊べ』に、遠藤周作さんは、こんなふうに書いておられます。

 好奇心の人一倍強い私は知的、精神的好奇心のほかに生活的好奇心が自分の中に強く存在しているのをいつも感じてきた。だから私は前者の自分を遠藤周作という本名にして、その自分では文学をやってきた。0002_2

  そしてもう一つの自分ー生活的好奇心の強い自分には狐狸庵(こりあん)という名称を与え、それによって生活のいろいろな楽しみを充分、享受しながら生きてきた。

 ・・・ 自分の中に、一つだけではない、たくさんのチャンネルがあることを自覚していた遠藤さんは、「樹座」(きざ)という劇団、コールパパスという合唱団を作り、「宇宙棋院」という囲碁クラブを設立しました。個人としては、ピアノ、手品、俳画を習い・・・と、意欲、行動力、旺盛です。合唱団は、楽譜が読め、うますぎる人は、入団面接で不合格とするそうです。劇団「樹座」も、他のところで活躍できそうな人はご遠慮願って、入団テストで合格するのは、音痴、運動神経のない人、恥ずかしがり屋、不器用な人とのこと。

 上に書かなかったダンスのことを引用紹介させていただきますね。

        ◇   □   ○   ※  ☆

  ゴルフを奨められて、二、三度、練習してみたが、いくらクラブをふっても足元にボールが残存しているため、嫌になってやめた。・・・そこでダンスを思いついたのである。ダンスならば、若い女性を相手にでき、決して飽きることもあるまいと思ったからだ。・・・これがワルツ、これがタンゴと曲を聞かされても、どこがワルツか、タンゴか、さっぱりわからず、教えられたステップをやっと憶えても、まるで泥鰌すくいをおどっているような恰好で、「はァ-」と最後は若い先生も溜息をつくような有様であった。

  一番、悔しかったのは、習いはじめて半年目、友人の佐藤愛子さんを仕事場に招いて、おどりを申し込んだが、こと志と違って一向にうまく運ばず、その翌日、彼女から、「わたしは昨夜、あなたに踏まれた足が痛くて眠れませんでした。やっと、うとうとしたら、フランケンシュタインに襲いかかられた夢を見ました。あなたはダンスをもう、およしなさい。という侮辱的な電話がかかってきたことであった。あれほど情けなく、歯ぎしりをしたことはない。

         ◇   □   ○   ※  ☆

 狐狸庵先生らしさがよく出ている文章に思えます。

 今日も、よい日となりますように。

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