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2018年1月19日 (金)

『うめ婆(ばあ)行状記』 宇江佐真理さん

0006『うめ婆(ばあ)行状記』 

宇江佐真理  著

朝日新聞出版

2016年3月30日第1刷発行

 朝日新聞に2016年1月12日から3月15日まで連載された作品で、宇江佐真理さんの最後の長編時代小説となりました。

  商家の娘、うめは、北町奉行所の同心霜降三太夫(しもふりさんだゆう)に見初められ、気が染まない結婚をして30年。4人の子供も成人しました。

 なんと、この物語の最初の一行目で、夫の三太夫は亡くなってしまいます。

 こうなると、うめは一人でこの物語の展開を背負って生きていくほか、ありませんね。 さすがに回想の形で三太夫も顔を出しますけれども。  こらえるところは耐えながらも、要所要所では小気味よい台詞が、うめの口から飛び出してきます。

 第1章は「うめの決意」・・・さて、うめはどんな決意をして歩むのでしょう。

 宇江佐真理さんの江戸の市井を舞台とするたくさんの作品、長年愛読させていただいてきました。この本、できるだけ時間をかけてゆっくりと読もうと思いました。 でも・・・ ほぼ、一気に読み進んでしまいました。

  よろしければ、どうぞ。 宇江佐真理さん、たくさんの著書をありがとうございました。

    そうそう、この物語にうめの甥の子、鉄蔵が登場しています。絵本を読み聴かせてもらったり、自分で読んだりするのが好きなのですが、いっぱしの意見を言うのです。そこを引用紹介させていただきますね。

     ◇   □    ○  ※  ☆

鉄蔵 「うめ婆、かごや姫の話もひでェもんだぜ」

「かごや姫じゃなくて、かぐや姫!」

 それでも鉄蔵は、すぐにかごや姫と言った。

「あんたに掛かると、なんでも彼(か)でもひでェ話になるのね」

うめは苦笑しながら言う。

「だってよう、竹取りの爺が竹を切ったら、赤ん坊が出て来たんだぜ。桃太郎と同じよ。危ねェじゃねェか。うっかりすりゃ、かごや姫の首がちょんぎれたわな」

「そうだねえ。運がよかったんだよ、きっと」

「大事に育てて、きれいなべべを着せてやったのに、月に帰るんだぜ。恩知らずじゃねェか。爺と婆はおんおん泣いたわな」

「気の毒だねえ」

「おいらは、爺とお婆は泣かせねえ」

「ほう、それは殊勝な心がけだ」

      ◇   □    ○  ※  ☆

  今日も、よい日となりますように。

 

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