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2018年1月24日 (水)

『言葉が輝くとき』 辻 邦生

0008『言葉が輝くとき』 

辻 邦生 著

文藝春秋

1994年8月10日 第1刷

 辻 邦生さんの『天草の雅歌』を読んだことがありますが、どんな方なのかは、よく存じ上げませんでした。

 この本を読んで、いくつかのことを知りました。辻邦生さんは、旧制の松本高等学校時代に北杜夫さんと友だちになり、それ以来、お互いが作家になってからも親交があり、一緒にチューリッヒにあるトーマス・マンの墓に行ったこともあるそうです。

  すごいかただなと思いました。松本高等学校在学中に戦争が終わり、全国の旧制高等学校で、戦争中に軍国的な教育をした教官たちを排斥すべきだとストライキに入ったとき、辻さんは、大勢の前に立って、次のように演説したのだそうです。

 ストライキをやったって何をしたって、時間も無駄だし、学校の中が荒れるだけだから、ともかく授業を続けてほしい。先生方の入れ替えについては直接文部省に行って、大学教育局長(のちの文部大臣・剱木氏)に、代表が全校生徒の意向を伝えて、いちばんいい解決方法をとってもらえばいい。

  初めは騒然としたけれど、結局、全体の意見となって、辻さんたち三人が文部省に行き、こういうわけで、松本高等学校はストライキを回避している。文部省もその意向を汲んで、民主的な校長を派遣して欲しい、戦争中に問題のあった先生方はそれぞれに責任を取っていただきたいと陳情した。

  剱木局長は「よくわかった。君たちのいうようにするから」といってくれた。

   ◇    □    ○   ※  ☆

  私は、昭和21年4月の松本高等学校の戦後が、このようにしてスタートしたことを初めて知り、感動し、ショックを受けました。 20歳になるかならないかの若者たちが、こんなに腹のすわった考え方をし、勇気ある行動をした事実があったのですから。

  この本は、正直、私には難しいところがありますけれど、何とか読み通したいと向き合っています。

  今日も、よい日となりますように。

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