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2018年2月21日 (水)

歌人・科学者  永田和宏さん

 NHKテレビ  こころの時代 宗教・人生   2018年1月14日(日)

「いのちを詠う」 で 紹介されていた歌・談話を 感銘を受けましたので、書き出してみました。          

     
 細胞生物学者・歌人 永田和宏
                     

  奥様は、河野裕子さん、息子 淳さん、娘 紅さん ・・・家族そろって、歌人で、テレビ番組で「歌の家」という題だったでしょうか、ドキュメントドラマで紹介されたこともあったと思います。  以下、黒字の短歌は永田和宏さん、青い字の短歌は乳がんで亡くなった河野裕子さんの短歌です。
         
ききて 杉浦圭子

      ◇     □    ○   ※    ☆

   生きてゆくとことんまでを生き抜いて それから先は
 君に任せる

 わたくしは死んではいけない わたくしが死ぬとき
 あなたが ほんたうに死ぬ

たとへば君 ガサッと落ち葉すくふように 私をさらって行つてはくれぬか

きみに遭う以前のぼくに遭いたくて海へのバスに揺られていたり

食えと言い、寝よと急かせてこの日頃妻元気なり吾をよく叱る

しつかりと飯を食はせて陽にあてしふとんにくるみて寝かす仕合わせ

何といふ顔してわれを見るものか私はここよ吊り橋ぢやない

平然と振る舞うほかはあらざるをその平然をひとは悲しむ

文献に癌細胞を読み続け私の癌には触れざり君は

この人を殺してわれも死ぬべしと幾たび思ひ幾たびを泣きし

あの時の壊れたわたしを抱きしめてあなたは泣いた泣くより無くて

まぎれなく転移箇所は三つありいよいよきましたかと主治医に言へり

みほとけよ祈らせ給へあまりにも短きこの世を過ぎゆくわれに

一日が過ぎれば一日減ってゆく君との時間もうすぐ夏至だ

長生きして欲しいと誰彼数へつつ つひにはあなたひとりを数ふ

 ◇    □     ○  ※  ☆

 河野裕子さんが亡くなって後の日に詠まれた歌

さみしくて あたたかかりきこの世にて 会ひ得しことを幸せと思ふ

ほめかたがだいぶあなたに似てきたよ紅のことだよ泣けてしまふよ

作り置きといふ術なども身について シチューを小分けにして冷凍す

けふは三度も大声出して笑つたと懺悔のごとく風呂に思へる

杉浦アナウンサー ・・・歌人という 豊かなことばを持っておられても 伝わらない 歯がゆさというのも経験されて・・・ 

永田和宏さん・・・ 言葉というのは、ある意味、伝わらないことの中に本質というのはあると思うので、ついに伝えたくて伝わらないものがあったからこそ、今、ぼくの中で河野裕子という存在がぼくの中で貴重なものになっている。

  人間 どんなに親しい人でもうまくいっている人でも、自分の一番言いたいことが全部伝わっているかというと ほとんど伝わっていない そういう存在であるということは間違いないと思いますね。  (二人の交わした)歌というのは読み返すたびにちがうことに気がつく  貴重な財産です。

授かりしちひさきいのち泣く声のほのぼのとして

ひらく手の指のほそさよわが妻の指を継げるや 亡き妻の爪に似るとや

ひるさがりの陽だまりのごと風にそよぐ 姫女苑また

水に浮く 笹舟のごと つつましき されど確かな 生きるべし 生きてゐよ 

との きみよりのこゑ

  ◇    □     ○    ※  ☆

 一つの番組の奥行きは本当に深いですね。 感銘を受けたので、できるだけ正確にメモし、引用させていただくことに努めましたが、いたらぬところがありましたら、お許しください。 NHK,そしてこの番組を紹介してくださった方にお礼申し上げます。

 今日も、よい日となりますように。

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