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2018年3月16日 (金)

『アポロンの嘲笑』 中山七里

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 もう一冊、中山七里さんの『アポロンの嘲笑』 集英社 2014年9月10日 第1刷発行 を読みました。2011年3月11日から7年目に入りました。松本清張さんの社会派推理小説(?!)の系譜を引き継いでいると私には思えるところがありました。 福島県の原子力発電所の放射能事故がこの物語の通奏低音となっています。

   題名のアポロンについては、本文に次の叙述があります

 ◇   □   ○   ☆

 汚染された場所では農作物も作れなければ家畜も飼えない。軽々しく立ち入ることはできず、頭の先からつま先まで完全防備しなければ自分の庭先を歩くこともできない。話は除染に留まらない。高レベル放射性廃棄物の中には半減期が十万年にも及ぶものがある。そんな代物を、自身の多発するこの国で安全に保管・処理などできるものなのか。

 不意に邦彦(この物語の主人公です) はアポロンの存在を思い出す・・・ギリシャ神話の本に出てくる神々の中の一人だ。太陽神アポロンは同時に弓矢の神でもあった。その矢は自分を軽視し侮辱する傲岸不遜な相手に死をもたらしたという。

 人間はある時からアポロンを軽視したのではないか。太陽の力に代わる原子力を手に入れた瞬間、太陽神を侮辱したのではないか。 邦彦の目には、この荒涼とした景色が神の火を軽視した報いのように映る。矮小な人間が自信の力を過信したゆえの刑罰のように思える。

  もし天上にアポロンが実在するのなら、今頃は下界を見下ろして嘲笑しているに違いなかった。 そして自分はアポロンに嘲笑されながら、悪足掻きを続ける哀れな存在に過ぎない。 哀れな存在。 だが、それは諦める理由にはならない。

       ◇     □    ○   ※   ☆

  絶望的な状況の中で、主人公は、崇高な行動をとります ・・・

  よろしければ、どうぞ。

  今日も、よい日となりますように。

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