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2018年3月22日 (木)

『窓の向こうのガーシュウイン』 宮下奈都さん

0001『霧の向こうのガーシュウイン』

 宮下奈都 著

 集英社

 2012年5月30日

 第1刷発行

 この本は、不思議な設定の本です。

 主人公の佐古さんは早産で生まれ、体重は標準の2/3ほど・・・医師は保育器に入れることを勧めました。 貧しかった両親は医療費が払えなくなることを心配して、保育器にいれないと主張し、主人公は耳と目の認識力に弱さをかかえました。

 保育器に入れても特別料金が掛かるわけではないことを、医療関係者がきっちり説明すれば、避けられたことだったのに・・・

  父は、ときどきふらりと家を出て、三か月くらい戻ってこないことがある人でした。どうして出ていってしまうのか、そしてまた戻ってくるのか 母にも、そして父自身にもわからなかった・・・水炊きの具に春菊がない こんなのは鍋じゃないと怒鳴って出ていった父 。  母が「春菊がないくらい何よ」というのを聞いて 春菊が足りないのは致命的なのかと思いかけた主人公は、そうか、と拍子抜けする・・・

 主人公は、10歳の時、友だちの家に遊びに行き、自分の家より居心地がよいと感じ、うちに対して軽い裏切りを働いたような気持ちになります。 けれど、それはうちの中が雑然としているからだと気づき、以来、家の中のことは自分がするようになります。 食事したら食器を洗い、窓を磨いてそこから晴れた空を見るとその窓で切り取られたように見える空が自分だけのもののように感じられる ・・・ そうしたことの発見に 彼女は にこにこ にこにこにこにこ します。

  あまり人となじめない学校生活を送った主人公は、ホームヘルパーの資格を取って、仕事に就きました。要介護1の「先生」と呼ばれる老人の居る一軒の家だけが、彼女がなじめる働き場所となりました。(他の家からは、すぐ、別の人を派遣してほしいと苦情が来るのです。) でも、深刻にならず、温かい物語が展開していきます。

 よろしければ、どうぞ。(明日、もう少しこの物語について書かせていただきます)

 今日も、よい日となりますように。

 

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コメント

素晴らしい本をご紹介くださりありがとうございます。
続きが愉しみです。
自身も半世紀以上前に1600gで生まれました。
3ヶ月間保育器に入り、その影響で眼が悪いです。

先日、大切な来客があり心を込め掃除をし、室内を整えました。医療ミスが重なり命を落とした母が好きだったコデマリの枝を玄関に置きました。
確かに家(室内室外)がスッキリと整うと、それだけで気持ちが晴ればれいたしますね。そこで頂いたお茶、至福の一時でした。

※ ムーミンパパより
  ブログを訪れていただき、コメントをありがとうございます。
  宮下奈都さんの著書、一冊一冊が独自の世界を豊かに湛えていて、ひとりのかたの中にどんなにたくさんの局面が展開していくのだろうと感じています。
  お家に大切なかたをお迎えするためにいろいろなご準備を整えられ、そうした思いをしっかりと汲んでくださる方が訪れ、しっとりしたひとときをおもちになれたこと、お慶び申し上げます。
  ご家族とともに佳い春をお迎えくださいますように。

投稿: ディンブラ | 2018年3月22日 (木) 09時26分

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