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2018年4月28日 (土)

葉室 麟さん 三冊

0007『散り椿』 角川書店

平成24年3月3日 初版発行

   藩主の兄が策謀を巡らし、そのために、忠義を尽くす武士たちが何人も命を落とします。

「わしは、大名の家に生まれた。その方らとは違う」 「おのれ、わしが主筋であることを忘れたか」「家臣が忠義であるのは当たり前じゃ」

 これに対し、主人公、瓜生新兵衛は言います。

「主君が魚であるとすれば、家臣、領民は水でござるぞ。水無くば、魚は生きられませぬ」

 ↑

                        この場面、この言葉が心に響きました。

0002『川あかり』  双葉社 

2011年1月23日 第1刷発行

 大雨が降り続き、川越人足に渡してもらうしかない巨勢川(こせがわ)は、水勢が強く、木賃宿に何日も足止めをくっている貧しい人たち。

 その宿に、主人公、伊東七十郎は、やむを得ない事情で逗留することになります。

 藩内一の臆病者である七十郎は、剣も弱いのですが、何と、江戸から藩へ戻ってくる家老を討ち果たすための刺客の使命を与えられておりました。

 雨が止まないために逗留した木賃宿には、病人、そして怪しげな一行が滞在していました。

  その何日かの間に、七十郎と怪しげな一行の間には不思議な絆が育まれていきます。

  雨が上がり、七十郎が討ち果たさなければならない家老が川を渡ってきました。その家老だけでも充分強いのに、屈強な武士たちが警護しています。

  さて、七十郎は、どうなるのでしょうか。

   ◇   □   ○   ※  ☆

  印象に残ったのは、こういうやりとりです。太字は藩の重役、答えているのは七十郎です。

  「そなた、あの者たちとどのように知り合うたのだ」

 「木賃宿で泊まり合わせたのです」

「それだけの縁か」

「いえ、実にあれこれございまして、助け合うて参りました」

「そうか、身をもって得たものこそが、そなたにとって大切なものとなろう」

「そうかもしれませぬ」

「大切にせねばならぬ者のことを何と呼ぶか存じておるか」

「わかりませぬ。お教えください」

「友だ」

        ◇   □   ○   ※  ☆

0002_2
『嵯峨野花譜』

文藝春秋

2017年7月15日 第1刷発行

 葉室 麟 さんの和歌の素養、そして華道についての見識の深さが伝わってくる作品です。

  主人公は、若き僧侶、胤舜(いんしゅん)  京都嵯峨野の大徳寺で師について華道の修行をしています。

 その活ける花について、寺男の源助がこのように感慨を述べるところがあります。

「胤舜様の活ける花はどれ一つとして同じものは無く、常に新しゅうござる。そのような花を見ておりますと、いのちというものは、かようにそれぞれが違って、しかも新しいのか、と思えば、おのれが生きてきた道も無駄ではないと思えて嬉しいのです」

 万葉集の歌や、西行法師の短歌、作中の人物の詠む短歌も散りばめられていて、風雅の世界を感じ取ることにできる佳編だと感じました。

 よろしければ、どうぞ。

 今日も、よい日となりますように。

 明日は日曜日。 キリスト教会の礼拝においでください。(^J^)

 

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