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2018年9月24日 (月)

宮城谷昌光さんの小説観 1

 『管仲』 下巻のあとがきで、宮城谷昌光さんは、小説についてのご自分の構えを記しておられます。

 宮城谷さんは、徳川家康についても本を出されていますが、作品が圧倒的に多いのは、中国の歴史に登場した人物たちについてのものです。 中国の歴史、地理、人物について小説を書くために宮城谷さんが蓄えられた知識、巡らせた思惟、練られた構想、費やされた時間数などを、宮城さんと同じくらい自分のものにしている人は、本家、中国にも、そうそうはおられないのではないでしょうか。

 宮城谷さんがそこまで中国の歴史、人物に精力的に向き合っておいでになった入り口は、「衛」という漢字一字の成り立ちを知って、魅せられたことにあると、別の本のあとがきに書いておられました。

 「衛」・・・ 護衛、衛士 などの熟語にある、守という意味の漢字です。このもとになった漢字・・・それは象形文字に近いのですが、 『常用字解』 白川 静 著 平凡社 から引用させていただきます。

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  左側の三番目 金文1 貴人の眠る建物を守って巡回する衛士の足・・・どちらまわりか  ごらんになれるでしょうか。

 警護の武士が、くせ者よりも先に刀を向くためには、建物を右回りにまわるときと左回りにまわるときと、どちらが建物にさやがつっかえることなく素早く抜けるか ・・・ そこまで考えてまわる方向が決まっていたことが漢字一字から分かる ・・・ そのことに感動したことから宮城谷さんの中国の歴史、その歴史に登場したたくさんの国々、そこに生きた人々を小説で描く道が始まったのだそうです。

  剣道に強い方は、右回りか、左回りかを判断できるのではないでしょうか。日本刀の場合と中国の刀とは形状が異なると思いますけれど、抜くときの基本は通ずるものがあると思います。 

  実は、左利きの私は、こういうとっさの場合には左右を混乱させてしまいますので、これ以上は自信を持ってかけません。 剣道の高位の有段者と同じ職場に勤めたとき、このことを話して、右回りか左回りのどちらが俊敏に対応出来るかを教えていただきました。

 余談ですが、新聞紙を丸めた筒で「隙あり」とその有段者の背後から打ち込んでみたいと思ったことがありました。 でも、思いとどまりました。 そんな児戯に等しいことを私にさせない風格が、その剣士には備わっていたから打ちかかれなかったのだと思います。  

 その方は、長身の美男子で、独身教師時代には、彼を女性の誘惑から守ろうというお母さん方の会が結成されたというエピソードが生まれたそうです。 真偽のほどは、勿論分かりませんけれど・・・。

 さて、ここまでに結構、長くかかりましたので、『管仲』下巻のあとがきについては、次回に記させていただきます。

  今日も、よい日となりますように。

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