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2018年9月23日 (日)

『管仲』 宮城谷昌光

0006『管仲』  上下

宮城谷昌光 著

角川書店

平成15年4月1日  初版発行

  驚きました。この本を読むのは、確か三度目なのですが、とても新鮮に夢中になって読めるのです。

  いったい、前にはどこに目を付けて読んでいたのだろうと思うほどです。

  以前読んだときから十年ほど経過しているからかも知れませんが、私の忘却力が増してきたということだけでなく、読み返す度に、こちらの成長、(あるいは退化?!)に合わせて、この本に登場している管仲や鮑叔という人物たちの生き方、内面が深さ、広さ

を展開して見せてくれる ということでもあるように思えました。

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 他人の評価がどうあろうと、管仲と鮑叔の交わり、友情は強まることはあっても、疑心を抱いてお互いを見ることはなかったといわれています。

 「管鮑の交わり」という言葉が生まれ、今でも強い友情で結ばれていることをさして、遣われているほどです。

 心が震えるほど感動して、引用・紹介させていただきたくなる箇所がたくさんあります。

 この本をお読みになるかどうかは、おまかせするとして、一箇所だけ、引用させていただきます。

 管仲に娘を嫁がせるときにその父親が語る場面の言葉です。

 ◇  □   ○ ※ ☆

 「そなたは南陽一美しいといわれているが、それは南陽しか照らせない光源でもある。そなたの夫の管仲どのは、いつか天下を照らす光源となろう。ゆえに、そなたは、管仲どのの内を照らせ。うぬぼれて、外を照らそうとしてはならぬ。」

 そのことばをきき終えると梁娃(娘)は涙を流した。自分がどれほど父に愛されてきたか、急にわかったのである。
            ◇  □   ○ ※ ☆

  名作は、誰が、いつ読んでも必ず感動する ということではないと思います。 大きな鐘と似ています。 軽くさすっただけでは音色を発せず、小さく叩いたら小さな音を発します。 読み手が大きく叩いたら、大きく鳴って応えます。

  物理的に、人と離れたところに、客観的に名作が存在するのでなく、ひとりひとりの読み手の中にその都度 成る  その可能性を大きく備えているのが名作たり得る作品なのではないでしょうか。

  固いことを書いてしまいました。 主人公が管仲(かんちゅう)なので、そして婚礼に関するところを引用させていただいたので、ちょっとユーモアを込めた結びにしたいと思います。

  俵万智さんの短歌 『サラダ記念日』より

「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で 言ってしまっていいの

 失礼いたしました。 『管仲』上下二巻を読み通して、ちょっとハイになって書いたように思います。

 よい日となりますように。

 日曜日。キリスト教会の礼拝にお出かけください。

 

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