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2018年10月 7日 (日)

『終わった人』 内館牧子

0001『終わった人』 

内館牧子 著

講談社文庫

2018年3月15日 第1刷発行

  この本の冒頭は、こうです。

定年って生前葬だな

 ・・・うーむ、そういう面もあるかも

 本文が527ページの文庫本 ・・・読み進むかどうか 一瞬迷いましたが、興が乗って読み始めるとページが進むのは速かったです。

 2017年に舘ひろし・黒木瞳・広末涼子などが出演して映画化されていますので、ご覧になった方もおありだと思います。それで、ストーリーをなぞることはしないで、印象に残った言葉を少し抜き出しました。

   ◇    □   ○   ※  ☆

 俺は「穏やかで楽しい余生」が楽しめないタチなのだ。何よりも「余生」という言葉がおかしい。人に「「余りの生」などあるわけがない。 80であろうが90であろうが、患っていようが、生きている限りは「生」であり、余りの生ではない。

 ◇    □   ○   ※  ☆

 ある時期にどんなに喜怒哀楽を共にしても、結局、時間や状況と共に散っていくものなのだ、人の世はすべて。

 思い出と戦っても勝てないのだ。「勝負」とは「今」と戦うことだ。

   ◇    □   ○   ※  ☆

 あとがきに書かれている「重要なのは品格のある衰退だと私は思います。」という国際政治学者の坂本義和さんのことばも、胸に響きました。

 主人公、田代壮介(たしろ そうすけ)が盛岡出身で、故郷にゆかりの深い石川啄木の短歌がこの物語に引用されたり、盛岡市内の川をサケが遡上してくる光景・・・それを小学生が「がんばったねーー」「お帰りーッ」と迎えているのを老人が、「サケは四年かけて海を回って泳いで、生まれた川に戻る、あのワラシたちが幼稚園の時に放流したサケが帰ってきたんだべ・・・」 と語ったりしているところなども、この小説に厚みを加えていると思いました。

 よろしければ、どうぞ。 

本をお貸しくださいましたKさん、ありがとうございます。

 日曜日。キリスト教会の礼拝にお出かけください。

 

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