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2019年3月15日 (金)

ファーブルさんの飽くなき追究心 『完訳 ファーブル昆虫記』から

0002  『完訳 ファーブル昆虫記』をつまみ読みして、私が子どもの時に読んで記憶に残っていたファーブルさんの実験のいくつかと出会うことが出来ました。今日の内容は、第五巻下からです。

1. セミが人が近づいたときに逃げるのは、音が聞こえるからか、姿が見えるからか・・・。

 【実験】

  大砲で空砲を放つ。 村役場から砲手も来てくれて、2門の小さな臼型の大砲を撃ってもらった。聴衆は6人。セミが歌っているプラタナスの木の根元で、まさに雷のような音で。 しかし、セミの歌のリズムも音量も何も変わらなかったというのが6人の一致した証言だった。

 このことから、セミは耳が聞こえないという結論を出す人もいるかも知れないが、私はあえてそこまでは言わないでおこう。・・・少なくとも、セミは耳が遠いということ、そしてあの「耳が遠い人は声が大きい」という有名な言い回しをセミにあてはめることができる、とは言えると思う。

 ・・・セミはとても鋭い目をもっていて、その大きな複眼は、自分の左右で起きることをちゃんと見ている。三つの単眼は、ルビーでできた望遠鏡のように、額の上のほうの空間をじっとにらんでいる。人が近寄るのを見ると、たちまちセミは歌を止め、飛び立ってしまう。

  ◇    □    ○    ※   ☆

 大砲の他に、ファーブルさんはセミが歌っている枝の背後に隠れ、話をしたり、口笛を吹いたり、手を叩いたり、二つの小石を打ち鳴らしたりしています。詳しくは書かれていませんが、いずれの場合もセミは逃げなかったようです。

  ただし、訳者の奥本大三郎さんは次のように訳注に記しておられます。

 ・・・ファーブルは結論を保留しつつも、耳が聞こえないのではないかと推測している。ファーブルは大きな音を鳴らすために大砲を持ち出したのであろうが、残念ながらこれは勘違いであって、セミが聞いている音域と大砲の音域がかけはなれているため、セミが反応しなかっただけのことなのである。

 ・・・現在のセミの研究では、種ごとの声をソノグラフ(音響記録図)で記録し、雄同士の競い鳴き、雌を呼ぶ鳴き声、他人の鳴き声を妨害する声から、地域ごとの〝方言〟の存在まで、細かな分析が行われている。

 ファーブルさんは1823年生まれ。苦学しながら師範学校に進み、教師になってからも独学で数学・物理学・博物学を学んで学士号を取得。1915年に91歳で亡くなられた方で、当時として可能な実験、観察手段を駆使しながら昆虫の行動観察を30年にわたって記録し、『昆虫記』全10巻を書き上げられました。

 ダーウインと親しく手紙のやりとりをしたことも、この『完訳 ファーブル昆虫記』に記されています。

    ◇    □    ○    ※   ☆

 今日も、良い日となりますように。

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