『世界一やさしい「思考法」の本』 ー
ー考える2人の物語ー
長沢朋哉 著
2015年2月19日
実は私はこういう本に手を伸ばすのは 苦手です。 どうしてかと申しますと『世界一やさしい・・・』という題ですから、手に取って読み始めて理解できなかったら、私には「思考法」を学ぶことは無理ということになってしまうような気がするからです。
それなのに、この本について書き始めようとしているとは、どういうことなのか・・・ということになりますね。
アマゾンというところで、パソコン上で無料で読める本のリストにこの本があって、早い話が無料で読めるならば、チャレンジはしてみようとKindle版というのをパソコン画面で開いてみたのです。
そうしましたら、タイトル通り、とても読みやすく、そしていくつかご紹介したいところがあったのです。 私にとって、ありがたいキャンペーンでした。
◇ □ ○ ※ ☆
この本の表紙のイラストにある社員二人が、力を合わせて製菓会社の一大プロジェクトを企画立案して役員会に提案することになり、そのストーリーの展開を通してどう思考したら良いのかが明らかにされていきます。そのストーリーが映画化しても良いのではないかと思えるほど、なかなか優れているように思います。実務的なことは本にまかせ、次のことを書かせていただきます。
優秀であるけれど、ちょっと線の細い印象を周囲に与えている男性社員が、それまで広報部門にいて、マーケティング部門に配属されてきた女子社員を丁寧に導いていきます。 この男性社員が、見かけによらずサッカー歴が長く、少年サッカーのコーチを数年続けていて、そのチームの先輩コーチの姿勢に好感を抱いています。 先輩コーチは、こんなことを語ります。
このチームの目標は「サッカーが大好きな子を育てる」だ。少年サッカーにおいては、勝利は「手段の一つ」であるはずなのに、いつの間にか勝利が絶対的な「至上の目的」になってしまうことが多い。 ぼくは、本当に大好きなものがひとつでもあると、その人生がもっと豊かになる、と考えて指導している。
◇ □ ○ ※ ☆
もうひとつ、スポーツのエピソードが織り込まれています。これは、男性社員が女性社員に語ります。
昭和時代にラグビーの日本チームの監督を務めた大西鐵之祐(てつのすけ)さんは伝説的な名監督だそうです。早稲田大学の教授もされていたとのこと。この方が、あるときコーチに最も必要な資質は何かとインタビューで尋ねられました。よかったら、答えを想像してみてくださいね。
・・・こう答えられたそうです。 「そこに居る人間を愛する能力」
選手が入れ替わり、新しい選手が未熟な面を見せているときに、この監督は、それまでに出会った名選手と比べたり、強い選手をスカウトすることを考えるのではなく、今、目の前に居る選手を愛し、育てることを一番大事になさったのですね。
さて、力を合わせて二人は。役員会でプレゼンテーションすることになりました。
プレゼンテーションの目的は
こちらの主張を理解してもらう ⇒ 相手に 意思決定してもらう
その際 「何を決めたらいいか」ということと 「その案に決めるべき理由」 を 明確に提案する
※ 理屈だけでなく 情動的な面でも説得できるよう、気持ちの部分で共鳴してもらう提言をする
この本の二人の場合、自分たちの思いを次のように言葉にして役員会で語りました。
この新製品を通して、世の中の方に幸せになっていただきたいと願っています。それで、人はどういうときに幸せを感じるかを考えてみました。
人は誰かの思いやりを感じるときに幸せな気分になります。そしてまた、誰かのことを思いやって、その人の笑顔をみられたときに幸せな気分になります。
さて、二人の提案は、どう評価されたでしょうか。 よろしければ、どうぞ。
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