« 美術の先生方のエネルギー | トップページ | 八木重吉の詩が世に出たいきさつ »

2019年5月28日 (火)

『神様は手話ができるの?』 ー先天性難聴のわが子にー

0008_2 『神様は手話ができるの?』

 ー先天性難聴のわが子にー

トマス・スプラドリー&ジェイムズ・スプラドリー 著

山室まりや 訳

早川書房 

1980年 昭和55年 3月15日 初版発行

 

 この本の著者ご夫妻の長女リンさんが生まれて、比較的早い時期に、風疹の影響を懸念していたご夫妻は、リンさんの耳が聞こえないようだと発見し、いろいろな病院、研究誌など、できる限りの検査を受け、何をしたら良いかを考え、最善の対応策を根気よく実践し続けます。 

 本文は281ページある本なのですが、タイトルにもある「手話」が登場するのは、199ページ目からです。

 それまでは、「口話法」を勧められ、身振りでのコミュニケーションは口話法、読唇術の習得の妨げになるからと、極力 用いないことを厳しく申し渡されていました。

 今では、口話、読唇術は、難聴・聾唖の人にとって、習熟しにくく、自分では聞こえない自分の声を健聴者に聞きやすくするために多大の努力を押しつけるものだと理解され、手話を出来るだけ多くの人が学んでコミュニケーションを図れる人を多くしようとテレビで手話講座が放送され、手話ニュースの時間も設けられるようになってきています。

 テレビの政見放送が手話通訳されるようにもなってきました。

 1980年に発行されたこの本には、口話の世界で多大な努力をリンさんと重ねるご夫妻のぶつかってきた大きな壁、悲しみと、手話に出会ってから開けてきたコミュニケーションの成立する世界の喜びの両方が綴られていることに特徴があると思います。

 この本の帯には、黒柳徹子さんの推薦の言葉が印刷されています。 いまは、お年を召して徹子さんが手話を用いて語りかける映像はあまり登場しなくなりましたけれど、熱心に手話の習熟に努められてきました。

0005_6

   この本を読んで、難聴のリンさんとそのお兄さんブルース、ご両親、二組の祖父母さん方が心を合わせて歩む姿に胸が熱くなりました。そして、このご家族が多くの方々と出会って悩みを語り合い、体験を分かち合って世界を広げていけたことに、そうした交流の広がりが豊かに芽生え、成長できる社会の大切さを思いました。 ヘレンケラーの「あなたの手のともしびをもう少し高く掲げてください。私たちの足元が明るくなるように」ということばを思い浮かべました。 ともしびを高く掲げることは、掲げる人自身の視界も同時に明るく開けるということになるでしょう。他の人の足元だけでなく、自分も含めてすべての人の足元が光で照らされることになるのです。

よろしければ、どうぞ。
今日も、良い日となりますように。

 

 

 

|

« 美術の先生方のエネルギー | トップページ | 八木重吉の詩が世に出たいきさつ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 美術の先生方のエネルギー | トップページ | 八木重吉の詩が世に出たいきさつ »