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2019年9月 5日 (木)

『いるか句会へようこそ!』 ー恋の句を捧げる杏の物語ー 堀本裕樹 著

0002_20190904220901 『いるか句会へようこそ!』 ー恋の句を捧げる杏の物語ー

堀本裕樹 著

駿河台出版社 2014年6月30日 発行

 

   著者の堀本さんは、「NHK俳句」の2016年・2019年の選者ですので、テレビでお顔やどんな方かをご存じの方も多いかも知れません。

 本書の後書きに、この本がどういう本かという手がかりが記されています。

 ◇   □   ○   ※  ☆

 「俳句のいろは」が学べる物語仕立ての内容にしようということでスタートし、1年ほどを費やして原稿用紙270枚を超える本となったとのこと。ある時から、登場人物が伸び伸びと動いてくれるようになり、著者自身の思いも寄らぬラストシーンにつながっていたそうです。

 堀本さんは、たんぽぽ句会、そして本当にいるか句会を主催しておられ、本書の作中人物が読む俳句の実際の作者名が、俳句と共に巻末に記されています。

 この本は、物語仕立てですが、「俳句のいろは」そして「句会とはどういうものか」が登場人物を通して 生き生きと描かれています。 素材は、原作者が実在し、本当の句会に登場した俳句 というのは、著者の書いておられるとおり、類書がないようです。

  室内で開かれる句会だけでなく、連れだって出かける吟行の場面も設定されています。

 朝顔が歳時記では晩夏から秋にかけて咲く花で、秋の季語であること、朝顔の別名に牽牛花(けんぎゅうか)という言葉があること・「秋の暮れ」は秋の夕暮れのことで、「暮れの秋」は秋の末のこと というようなことが物語の中に登場し、歳時記で紹介されている句も紹介されていることが嬉しいです。 主人公の杏(大学二年生)が「短夜」を調べ、句歴の長い母親に「短夜」の別の言い方として載っている「明易し」(あけやすし)・「明早し」・「明急ぐ」などを傍題ということ、「後朝」(きぬぎぬ)の読み方と意味を教わるシーンなど、親切な手引き書の役割を果たしていることを感じました。「ハンカチ」が夏の季語で、傍題は「汗拭ひ」(あせぬぐい)・「汗拭き」「ハンカチーフ」・「ハンケチ」 例句で杏の印象に残ったのは、次の二句だそうです。

・ 敷かれたるハンカチ心素直に座す   橋本多佳子

・ きつかけはハンカチ借りしだけのこと 須佐薫子

 九月の句会で、多くの人に特選句として選ばれた句も味わいがありました。

 実際のいるか句会で登場した句なのですね。

・ 秋の海話すは言葉放すこと  菊八

 よろしければ、どうぞ。 

 九月も、もう五日となりました。 今日も、良い日となりますように。

 

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